コレ1枚で分かる「クラウドの新しい常識」(1):即席!3分で分かるITトレンド
システム資源をクラウドで利用するメリットについて、所有型のシステム資源の場合と比較しながら解説します。
この連載は
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
まるでシステム資源のECサイト
情報システムを自社資産として「所有」することから外部サービスとして「使用」するようになると、システム資源の調達や変更は、簡単に行えるようになります。例えば、クラウド以前の「所有」の時代は、次のような多くの手順を踏まなくてはなりませんでした。
- リース期間に合わせて将来の需要を予測し、サイジングする。
- ITベンダーにシステム構成の提案を求めて見積もりを依頼し、価格交渉を行う。
- 稟議書を作成して承認・決済の手続きを行う。
- 決定したITベンダーに発注する。
- ITベンダーはメーカーに調達を依頼する。
- 調達した機器をキッティングする。
- ユーザー企業のオンサイトに据え付け、ソフトウェアの導入や設定を行う。
このため、調達には数週間から数カ月かかりました。一方、クラウドであれば、実に簡単です。
- 当面必要なリソースを考えてサイジングを行う。
- クラウドサービスのWebに表示されるメニュー画面(セルフサービスポータル)からシステム構成を選択する。
- その画面で、セキュリティのレベルやバックアップのタイミングなど、運用に関わる項目を設定する。
- 調達ボタンを押す。
この間、数分から数十分といったところでしょう。あっという間です。使用量が増える、運用の要件が変わるなど、変更があれば、その都度メニュー画面で設定し直すことができるので、予測できない未来まで考えて、サイジングする必要はありません。また、電気代のように使用量に応じて支払う料金制度ですから、必要なくなればいつでも辞められますので、初期投資リスクを抑えることができます。つまり、クラウドは「システム資源を調達するためのECサイト」なのです。
著者プロフィル:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤリティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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