1日5分でできる、ランサムウェア対策:半径300メートルのIT(2/2 ページ)
大事なデータを勝手に暗号化し、身代金を要求するランサムウェア。その被害は個人にも及んでいます。今回は、被害にあって絶望しないための対策法を紹介します。
個人のファイル群:月ごとに1つフォルダを作り、何でも放り込む
まず、個人のファイル群を考えましょう。遊び、趣味、買い物の記録、そして写真など、個人のファイルは保存するということが主目的でしょう。このファイル群は「月ごとのフォルダを作り、当月に受け取った/作ったファイルはここに全て入れる」というポリシーです。個別にフォルダでまとめてもいいですが、重要なのは「当月の記録の全てがここにある」ことです。
ポイントは、翌月になったら前月のフォルダの中身は「触らない」こと。もし必要があれば、コピーして使います。このようにしておくと、過去の月のフォルダを凍結できますので、バックアップは1度だけすればいいということになります。バックアップ手法は、外付けHDDでもいいですし、DVD-Rドライブがあれば「毎月1枚、DVD-Rへ焼く」とルールを決めれば安心です。
仕事のファイル群:プロジェクトごとにフォルダを作り、終わったら月別アーカイブへ
しかし、仕事のファイルや、ある程度の期間で継続して進む作業などは、月ごとの管理が合わないかもしれません。私の場合、仕事で取材したときの資料などがそれに当たります。プロジェクトのような作業に関するファイルは、別の管理方法を使っています。とはいえ非常に単純で、「プロジェクトごとのフォルダを作り、終わったら月ごとのフォルダに放り込む」だけです。
こうすると、このフォルダが「ToDoリスト」の代わりにもなります。終わったらそのフォルダは「凍結」扱いにし、月別フォルダ(上図では「work201605」)に放り込みます。こうすると、その月の月別フォルダの中身は変わることがないので、1度だけバックアップすれば問題ありません。
これらのフォルダ全体をクラウドで同期すれば完璧!
私の場合、この個人フォルダと仕事フォルダの全体をDropboxで同期しています。Dropboxに置くことで、万が一PCが壊れたときや、ランサムウェアに感染したとしても、そのファイル履歴から最新のファイルを取り出すことができるはずです。
クラウドストレージですと保存容量の上限がありますが、このような方法でファイルを整理しておけば、例えば3カ月前のファイルはクラウドから消す、ということもできるはずです(外付けHDDやDVD-Rには保存されているはずですから)。
バックアップ術はツールで解決するというより、「バックアップしやすいようにPCの使い方を変える」ということの方が重要だと思っています。私の場合は「月ごとにフォルダを凍結する」手法が一番合っていましたが、もしかしたら皆さんの場合はもっとさえたやり方があるかもしれません。
もっといいやり方があったら、ぜひお知らせください。多くのノウハウがあれば、バックアップはもっと身近なものになるはずですから。
著者紹介:宮田健(みやた・たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より:
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。皆さんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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