コレ1枚で分かる「産業発展の歴史と人工知能の位置付け」:即席!3分で分かるITトレンド(1/2 ページ)
第4次産業革命のカギを握るといわれる人工知能(AI)。その位置付けについて、産業の発展史を振り返りながら整理してみましょう。
この連載は
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
今回は、産業発達の歴史から人工知能の位置付けを考えてみました。
家内制手工業
18世紀半ばに始まる産業革命以前は、人の手による「家内制手工業」の時代でした。ものづくりは職人が担い、1人が最初から最後まで一貫してこなすやり方が一般的でした。親方が束ねる工房での分業も行われましたが、基本的な需要を充足することが目的であり、また通信網や流通システムが今ほど発達していない時代ですから、需要の変動は一定の範囲で、効率の向上は必ずしも重要なものではなかったのです。
大量生産(産業革命)
1779年にイギリスの発明家サミュエル・クロンプトンが新しい紡績機を発明しました。ミュール紡績機といわれるこの機械は、天然繊維をよって連続的に糸にする装置です。その後、1830年にリチャード・ロバーツがこれに蒸気機関を組み合わせ、さらに作業を自動化することに成功しました。
この発明により、当初は手動で1人の労働者が同時にできる作業が264〜288錘の巻き取りにとどまっていたものが、成年1人と2〜3人の少年の補助で、同時に1600錘を巻き取れるまでになり、生産性が飛躍的に向上したのです。これは手動ミュール紡績機が運転調整に熟練を要したのに対し、自動ミュール紡績機は糸継ぎと装置トラブルの監視だけをすればよくなったためです。
自動ミュール紡績機は広く普及し、紡績の仕事には特定の仕事をこなす単純労働者が増えていくことになり、労働の在り方を大きく変えてしましました。
紡績産業以外にも、蒸気機関と自動化への取り組みは進み、労働の分業と専門化はさらに広がっていきます。また通信網や流通システムの発達と相まって、大量生産の需要が高まり、効率化の追求がものづくりの目的として重視されるようになっていったのです。
科学的管理法
20世紀初頭、米国の技術者であり、経済学者であるフレデリック・ウィンスロー・テイラーが「科学的管理法」を提言、ものづくりの現場で適用されるようになります。「科学的管理法」とは、仕事を作業要素、すなわち「プロセス」に分解し、作業動作の無駄や改善点を見つけ出そうという取り組みです。そして、効率の良いプロセスを標準化し、それをマニュアルにして作業現場に徹底させます。これにより、経験の浅い作業員でも一定の効率と品質を維持できるというものでした。
これを徹底させる手段として、コンピュータが使われるようになりました。つまり、標準化されたプロセスをコンピュータプログラムに置き換えることで、誰もが間違えることなく、効率よく仕事を進められるようにしたわけです。
経理や人事、受注、調達、生産、販売など、さまざまな業務プロセスがプログラムに置き換えられてきました。いったんプログラムに置き換えられると、融通を利かせることはできません。それを逆に利用して、標準化された業務プロセスを業務の現場に徹底させ、コストの削減や品質の安定、作業時間の短縮を実現しようというわけです。ERPはそんな仕組みの集大成といえるでしょう。
これにより効率向上は加速されました。ピーター・ドラッカーは、テイラー以降、肉体労働の生産性は平均して年率3.5%の割合で伸び、20世紀の終わりには50倍に向上したとしています(ピーター・ドラッカー著作『明日を支配するもの』より)。
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