人を“納得させる”プレゼンスキル、2つのポイント:プロマネ1年生の教科書(1/2 ページ)
プロジェクトの約束ごとを守らせるにはどうすればいいか――。時と場合によって必要なスキルは異なりますが、議論の余地がないテーマについては「プレゼンテーション」のスキルが有効です。今回は相手に納得してもらうプレゼンのポイントについてご紹介します。
連載:プロマネ1年生の教科書
現代のプロジェクトマネジャーは、昔よりも難しいといわれています。多様な人材や混沌とした状況に苦しみ、「自分は向かない」と自信を失うこともあるでしょう。この連載は、プロマネになりたての人や、役職に就いたが“やることが山積みで、関係者の間で日々翻弄されている”人が、限られた権限やリソースの中で「ヒューマン/ビジネススキル」を使ってチームをよい状態へ導くことをテーマに、さまざまなスキルや活用法をご紹介します。
なぜ人はプロジェクトの“約束”を守らないのか――。プロジェクト内で決めたことをメンバーに守ってもらい、そして高いパフォーマンスを発揮するよう導くのがプロマネの仕事。前回の記事では、約束を守ってもらうために各メンバーの「納得感」が必要だとお伝えしました。
やらされ感を減らし、メンバーがタスクや決定事項に対して「自分ごと」として捉えること(当事者意識とも言います)。これが自ら約束を守る意思が出やすくなる方法の1つです。そのための手法として、代表的な「ファシリテーションスキル」と「プレゼンテーションスキル」をご紹介します。まずはざっくりとした、両者の使い分けをまとめてみました。
「ファシリテーション」と「プレゼンテーション」の使い分け | ||
---|---|---|
ファシリテーション | プレゼンテーション | |
特徴 | メンバーをテーマに巻き込み、納得感を高めるスキル | 説明することで、メンバーに内容について納得させるスキル |
使える場面 | 話し合う余地のあるテーマ(アイデア出しや意見を聴く場面) | 既に決定し、変更できないテーマ(決定事項など) |
ポイント | メンバーが安心して“乗れる”環境づくり | 納得感を生み出すための、双方向の機会 |
分かりやすい違いは、使える場面でしょうか。ファシリテーションは議論の余地があるテーマ、プレゼンテーションは議論の余地がないテーマに対して有効なスキルです。今回は全てのビジネスパーソンに必要ともいえる「プレゼンテーションスキル」における、“相手を納得させるためのポイント”についてお話しします。
「プレゼンテーションスキル」に必要な2つの要素
ひとたびプロマネになれば、たとえ1年目であったとしても、メンバーに何かしら説明する機会がとても多いと思います。プレゼンテーションというと、大勢の人の前で話すなど大掛かりなものを想像する人も多いかもしれませんが、伝えたい目的や意図のある話は、その全てがプレゼンテーションです。日常的なメンバーへの指示出しなども、全てプレゼンの機会といえるでしょう。
プロマネにとって指示や決定事項を“分かりやすく伝える”のは当たり前のこと。その上でメンバーが納得し、“自分ごと”に捉えてもらうためには、大きく2つのポイントがあります。
- 興味を引くような説明で、理解しやすい状態を作る
- 質疑応答の機会を作り、誠実に対応する
まず「興味を引くような説明で、理解しやすい状態を作る」は、メンバーに話を聞く態勢を整えてもらうことです。例えば、プロジェクトの説明をするときも、「このプロジェクトの第1フェーズで行うことは……」と詳細な説明にすぐに入るよりも、
「まずはプロジェクトの全体像を説明します。全員で共有することで、タスクに集中しやすい環境を作るのが目的です。今回のプロジェクトは大きく分けて4つのフェーズに分かれます。まず第1フェーズで行うことは……」
というように、話の目的や背景、全体像を先に説明します。図などを用いて説明するのもよいでしょう。メンバーの“なんとなく聞いている”という状態を防ぎ、話に集中してもらうのです。これは多くのビジネスパーソンに当てはまる話ですが、特にプロマネとしては、2つ目の「質疑応答の機会を作り、誠実に対応する」ことが重要でしょう。
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