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日本のICT産業の課題とは? 「情報通信白書」で読み解く解決法Weekly Memo(2/2 ページ)

総務省が先頃、日本のICT産業における現状や課題をまとめた「平成28年度版 情報通信白書」を公表した。その中から筆者が興味深く感じた図表を取り上げながら、日本のICT産業が抱える課題について考察したい。

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IoT進展に向けた「人材育成」が大きな課題の日本

 次に、図3はIoT進展度に関する国際比較である。日本、米国、英国、ドイツ、中国、韓国の企業における調査結果に基づき、各国のIoT進展状況を指数化するとともに、IoT進展の環境要因として鍵を握る無線通信インフラの整備状況に関連する指標を定義し、これらの2つの指標について6カ国のマッピングを行っている。

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図3 IoT進展度に関する国際比較(出典:平成28年度版 情報通信白書)

 結果は図にあるように、両指標において高い位置にある米国、IoT進展指標は高いが無線通信インフラの整備に関連する指標は低い中国、IoT進展指標は低いが無線通信インフラの整備に関連する指標は高いその他4カ国という構図になった。

 その中で、日本はIoT進展においてインフラ面での課題を指摘している企業の割合が他国に比べて低かったが、インフラ整備状況に比べてIoT進展指数が低いため、人材の育成やユーザー企業へのIoTのユースケースの紹介など、IoTの活用を進める施策が求められるとしている。日本にとっては国際競争上からも対策を急ぐ必要がありそうだ。

 最後に、図4はIoTの進展において最も重大な課題を探ったものである。図3で見られたように、日本はインフラ整備状況について他国と比較して課題と感じている企業が少ない。しかし、ICTの進展における課題を「インフラ」「ルール」「市場」「資金」「人材」の中で聞いたところ、他国と比べて「人材」、つまり人材育成に対する課題認識が高いことが分かった。

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図4 IoTの進展において最も重大な課題(出典:平成28年度版 情報通信白書)

 こうしたIoTにおける国際比較の結果について白書では、「IoT進展指標や今後のIoT導入意向について、日本は6カ国の中で相対的に低い結果となった。その要因を読み解くと、とくにプロダクトにおいて多くの産業で『利用場面が不明』という回答が得られており、IoT化の具体的なイメージが浸透していないことが示唆された。加えて、日本は他国に比べて『人材育成』をIoT進展に関わる課題に挙げた企業が相対的に多くなっており、これらの課題解決に向けた政策などの必要性が高まっていることも浮き彫りとなった」と指摘している。

 以上、筆者が興味深く感じた内容を取り上げてきたが、白書ではこのほか、AIについてもさまざまな角度から調査した結果と分析を行っているのが印象的だった。冒頭でも紹介した通り、ICTに関する国内最大の統計資料でもあるので、ぜひ夏休みの機会にでも目を通してみていただきたい。

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