第14回 企業規模でみるシステム運用管理のアウトソーシング方法:データで戦う企業のためのIT処方箋(2/2 ページ)
ITシステムをMSPへアウトソースする際に、IT部門が考慮しなければならない点はたくさんあります。今回は自社の規模という視点からMSPに対するアプローチの方法を紹介します。
大企業でのアプローチ
一方、大企業にとっての適切なアプローチは中小企業の場合と少し異なります。システムの数が多く、種別も多岐にわたるため、一つずつ順次実施するようなアプローチでは、同じ内容の検討や無駄な作業が多数発生してしまいます。この場合、社員か外注か、委託かは別として、ある程度の数のIT担当者がいることが一般的です。
まずはそもそもの業務・データの洗い出しに注力し、全体のアウトラインを作成してから始めるべきでしょう。超大手企業がIRなどで公開している中期経営計画レベルまでは不要ですが、業務間の連携、格納場所や格納方法、ポリシーの整理までを一度行うと、その後の更新、メンテナンスも含めて非常に使いやすい基礎資料になります。
この資料を作成する際、一般的なベストプラクティスでは、大企業の複雑な業務環境としては部分最適になってしまうことも多くあります。よほど急いで対応しなければいけない場合を除き、この段階ではベストプラクティスと言えども、検討のスタートラインとしての参考にとどめたほうが良いでしょう。
これらの手順を経て標準化のアウトラインができれば、あとは前回紹介した要件に応じた技術を調査・検証し、実装していくことになります。こうなれば、まずは付き合いのあるSIerやITベンダーから情報を聞きつつ、それ以外のいくつかの情報元からの情報を少し加味するだけで、かなり効果の高い改善策が、標準運用やポリシーに沿った形で実装できるでしょう。
前回と今回でITシステムの運用管理を外部委託する際の方針の決め方について、マネージドサービスプロバイダー(MSP)を主眼に置いて紹介しました。以前からのMSP以外に、最近ではクラウドを活用する企業が増えてきたこともあり、主にパブリッククラウドを提供している事業者そのものや、パブリッククラウドを活用したサービスを提供する事業者のことをMSPと区分してクラウドサービスプロバイダー(Cloud Service Provider、CSP)と呼ぶようになってきています。
選択肢が多くなることは競争の発生を意味し、ユーザー企業にとっては非常によいものですが、選ぶ対象が増えれば検討が長引いたり、別の方式を検討する時に新しい課題が出てきたりします。
次回は一般的になってきたクラウドを活用してデータ管理を行う場合について、従来のオンプレミスやデータセンターへ単純に預けて利用する時とは違う点や、注意すべき点を説明します。
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