新入社員の“コミュ力”、どう鍛えればいい?:女子ヘルプデスク今昔物語 第10話(2/4 ページ)
「いいコミュニケーションってどんなもの?」を教える研修の時間がやってきた。個人的にコミュニケーションに正解はないと思っているんだけど、それでも教えなきゃいけない……。一体どう教えればいいんだろう?
コミュニケーションの本質はどこにある?
新入社員A: 仕事をするために必要だから。
わたし: そうそう。そうだね。
なぜコミュニケーションが必要なのか――新入社員から出てきた意見をホワイトボードに書き込んでいく。
わたし: 他には?
新入社員B: 報告とか情報を伝えるのが大切だから。
わたし: うんうん。それも大切ね。ほかには?
新入社員C: んー。分からないんですけど、情報共有以外に何かあるんですか?
わたし: どうだろう。情報共有以外にコミュニケーションが必要な理由があるかどうか、確認のためにもみんなに聞いてみています。もうちょっと考えてみて。
このほかに新入社員からは、「問題があるかどうかを報告するため」とか「上司から的確な指示を仰ぐため」といった意見が出てきた。別に間違いではないのだけれど、何かこう……大事なことが抜けている気がする。
でも、私自身も明確な答えを出せる状態ではなく、新入社員を良くも悪くも「誘導」することはできなかった。本当は「なぜ、コミュニケーションを取るのか」という本質をもっと考えて欲しかったんだけど、うまくヒントを出すこともできない。そうこうしているうちに、彼らから意見が出なくなった。
わたし: みんなが今、ここに出してくれた意見は「情報を伝える」あるいは「知ってもらう」ことが中心よね? これ以外に、相手が持っている情報を「知る」ということも大切だと思わない?。
新入社員C: 知ることですか?
わたし: そう。みんなが「知ってもらう」ためにコミュニケーションをとるということは、その相手は、みんなのことを「知る」ためにコミュニケーションをとっている、ということになるよね。
お。口から出任せ(おいおい)だったけれど、何かうまくまとまるような気がする。いいこと言ってるぞ、私。
わたし: みんなが一生懸命相手に「知らせよう」としても、説明が曖昧だったり、相手がその話に興味を持てなかったり、共通の理解ができる言葉を使わなかったりして、みんなが出した情報を相手がうまく受け取ることができなければ、相手はみんなが言っていることを「知る」ことができないよね。
だから、コミュニケーションの本質は「知ってもらうこと」と「知ること」なの。この2つがペアになって初めてうまくいく。知ってもらうためには相手に「知りたい」って思ってもらわないといけないから、どうしても知る側、つまり聞く側が主体になるの。「聞き手にとって知りたいことを知る」、これがコミュニケーションにとって最も大事なことね。そうなると伝えたい側は、相手に「知りたい」と思ってもらうところから始めないといけないの。円滑に仕事をするためにもこれは重要なんだよ。
……おお、うまくまとまった。なんか自己陶酔。インストラクターズ・ハイ、という言葉があるとしたら、きっとこういうことを言うんだろう。
関連記事
- 第7話前編:イマドキの新人はメモを取らないのが当たり前?
激動(?)の3日間を終え、新入社員研修についていろいろと話を聞こうと、飲み仲間のY子とK子に声をかけたわたし。研修の進め方について聞こうと思ったら……あれれ。突然、今年の新入社員の特徴を語り始めたぞ? - 第6話:Excelの操作、覚えなくてもググればOK?
私が担当する新入社員研修の3回目、テーマはExcel。デジタルネイティブ世代だからリテラシーは高いと思っていたのだが……その期待は見事に裏切られるのであった。でもこの問題って新入社員だけの話じゃないのかも。 - 第3話:「報告書、スマホで書いてもいいですか?」
いよいよわたしが担当する新入社員研修が始まった。担当するのはMicrosoft Wordの使い方。新人もみんな使ったことがあるっていうし、楽勝楽勝……と思っていたのだけど、現実はそう甘くはなかったのだった。 - 第2話:今年の新人は「Windows 95」とほぼ同い年!
突然、新人研修で登壇することになってしまったわたし。どこから準備を始めよう……と悩んでいたら、何とも悲しい(?)事実に気付いてしまったのだった。 - 第1話:LINEで遅刻を連絡する新人、これはアリ? ナシ?
今年もウチの会社に新入社員がやってきた。LINEで遅刻の連絡するなんて時代が変わったわね――なんて思っていたら、彼らの研修で登壇することになってしまったのだった……。一体ヘルプデスクに何をやれっていうの?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.