複雑化するハイブリッドクラウド時代の運用管理、解決策は:Weekly Memo(1/2 ページ)
企業のIT基盤としてハイブリッドクラウドが注目を集めているが、統合運用管理の複雑化が課題となっている。この問題に解決策はあるのか。
求められるハイブリッドクラウドのハブ機能
企業においてIT基盤を統合・再構築する動きが活発化している。ビジネス環境の急速な変化やデジタル化に対応するためだ。日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が先頃発表した「企業IT動向調査2016」におけるIT基盤の取り組み状況によると、IT基盤の統合・再構築について「実施済み」あるいは「部分的な実施/現在取り組み中」と回答した企業は全体の54.2%に上った。
図1がその調査結果を示したものである。この図でクラウドの項目に注目すると、同様の合算で、プライベートクラウドの構築は36.2%と、その他のクラウドサービス(IaaS/PaaS/SaaS)に関連する項目と比べて高い割合となっている。この調査結果からハイブリッド利用の状況は分からないが、プライベートクラウドが前提となるハイブリッドクラウドが相当分、含まれていると推測できる。
また、国内の市場規模として、パブリッククラウドは2020年に2015年比2.7倍の7346億円、プライベートクラウドは2019年に2014年比3.0倍の1兆8601億円になると予測しているIDC Japanは、今後の市場の動きについて次のような見解を示している。
「プライベートクラウドにおけるユーザーの期待は業務の効率化なのに対し、パブリッククラウドは効率化だけでなくビジネスイノベーションへと広がっている。そして今、これらを連携させるハイブリッドクラウドにも注目が集まっている。ハイブリッドクラウドでは、複数のクラウドを統合管理するとともにITガバナンスの強化が必要であり、ハイブリッドクラウドの“ハブ”としての機能がプライベートクラウドにおいて重要となってきている」
では、ハイブリッドクラウドの実現に向けてどのように取り組めばよいのか。課題は何か。この疑問に、ちょうど答えてくれるITベンダーの発表会見が先頃開かれた。ネットワーク系システムインテグレーター大手のネットワンシステムズが、自らの顧客調査結果とともにハイブリッドクラウド対応サービスを発表したのがそれだ。
同社が発表したのは、安全・多機能・高性能にハイブリッドクラウドを実現すると銘打った「クラウドHUBサービス」である。まさしくIDCが指摘したハブ機能を持つサービスである。その会見で同社が明らかにした顧客調査結果が興味深い内容だったので紹介しておきたい。
関連記事
- 「Weekly Memo」記事一覧
- クラウドサービス市場の覇者は? 最新勢力図を検証する
企業向けクラウドサービス市場はどのように推移し、どんな勢力図になっているのか。最近発表された幾つかの調査データから読み解いてみたい。果たして覇者は誰か? - 加熱する国内クラウド市場、大手ベンダーの“次の一手”は
有力なエンタープライズITベンダーが相次いで、クラウドサービス事業に一層注力する動きが目立ってきた。国内クラウド市場は今後、一段とホットな戦いになりそうだ。 - なぜ今、中堅中小企業が「プライベートクラウド」を選ぶのか
7年前の本連載で「プライベートクラウドは『クラウド』か」と題した記事を書いた。それが、今では多様なクラウド形態に進化しているようだ。どう変わりつつあるのか。 - ITの“カンブリア大爆発”
約5億5000万年前に生物の爆発的な多様化が始まったとされる「カンブリア大爆発」。実は、同じことがITの世界にも起きようとしているのかもしれない――そんなITの進化の行方を、ITの歴史をひもときながら考察します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.