社員16万人に「Office 365」を導入する富士通、その狙いは?(1/2 ページ)
富士通がOffice 365ベースの社内情報共有クラウドを全従業員16万人に導入する。社内実践で得た知見を基に、コミュニケーション基盤の拡販を図りたい考えだ。マイクロソフトとの協業も強化するという。
従業員の生産性を高め、知識を共有する――ワークスタイル改革や企業の競争力を高める手段として、コミュニケーション(コラボレーション)ツールへの注目が高まってきている。
富士通は9月1日、社内コミュニケーション基盤をプライベートクラウドからパブリッククラウドへ移行し「Office 365」を導入すると発表した。海外を含むグループ社員16万人が対象で、国内で働く2万人を皮切りに、2017年3月から順次運用を開始。2019年3月には全社員への導入が完了する見込みという。
同社では、2013年にグローバルでコミュニケーション基盤を統一しており、ワークスタイル改革を社内で実践してきた。2015年は全従業員の95%がWeb会議を経験し、年間では130万回利用されたという。また、社内SNSでのコミュニティー数は3600に上り、組織を横断するプロジェクトグループや、技術系のコミュニティーなどが増えているそうだ。
「交通費などのコスト削減効果は出ており、生産性の高まりも今後数値化していきたい。技術系のコミュニティーを通じて、20件ほどの特許出願も生まれている」(富士通 グローバルマーケティング部門長 執行役員常務 阪井洋之氏)
今回、Office 365の導入にあたっては、クラウド認証基盤の「Azure Active Directory Premium(Azure ADP)」を利用し、富士通内のクラウドサービスと連携させたほか、2000を超える他社クラウドサービスとの連携など、マルチクラウド環境でのシングルサインオンや多要素認証を実現した。
システムのクラウド化で、これまで部署や個人ごとにバラバラだったソフトウェアのバージョンが統一され、常に最新機能を利用できるようになる。今後は、富士通とマイクロソフト両社の人工知能(AI)技術を生かしたパーソナルアシスタント機能の導入も検討しているという。
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