iPhone 7で話題の電子マネー、現金よりも安全な理由:半径300メートルのIT(2/2 ページ)
FeliCaを搭載したiPhone 7の登場で、いよいよ日本でもiPhoneを使った決済サービス「Apple Pay」がスタートします。これを契機に普及が予想される電子マネーですが、どんなメリットやリスクがあるのでしょうか。
リアルタイムでお金の流れが分かる
そして。もう1つ電子マネーの便利なところは、利用状況を可視化でき、それを「IT連携」できることだと思っています。
このコラムでも「モバイルSuicaで交通費精算を簡単にできる」ことを取り上げました。日々の出費を電子マネーで取引できれば、その記録を収集し、自動で家計簿を作ることすらできるようになるはずです。多くのクラウド家計簿サービスは電子マネーの記録を収集したり、クレジットカードの履歴を処理できるので、もはや何もしなくても出費管理ができるようになるのです。
「クレジットカードや電子マネーは、財布の現金が減らないのでいくら使ってるか分からない」という不安を持っているなら、このような家計簿サービスと合わせて利用し、毎週、毎月その記録をチェックすることで出費を管理するといいでしょう。
ただ、そこで気になるのが“家計簿サービスの安全性”です。出費の情報は個人情報の中でもかなり機微な、絶対に漏らされたくないもの。その上、お金に直結するものなので、ID/パスワードは厳重な管理が必要です。こうした情報を家計簿サービスに預けることについては、私もちょっと前まで疑問を感じていました。
しかし、今では、履歴をチェックするために必要なサービス自体のID/パスワードのほかに、決済関連のパスワードを別途利用できる仕組みができつつあります。安全に使える環境が整ってきたことから、リスクよりも利便性の方が高いと判断した私は、クラウド会計ソフトにクレジットカード履歴や電子マネー履歴を連動させるようになり、日々、お金の動きを可視化できるようになりました。万一、不正利用された場合でも、電子マネーの利用通知がスマートフォンにプッシュ通知として届くので、簡単に気付くことができるので安心です。
電子マネー化は「家計をIT化する」きっかけになるか
こうした利点は、スマートフォン以前におサイフケータイを利用していた人にとっては、もはや当たり前のことかもしれません。ITmediaでも、「おサイフケータイの便利さからiPhoneをやめた」という記事が大きな話題になったことを思い出します。
そのiPhoneも今や、日本の電子マネーに対応しました。これまで、「面倒だから家計簿をつけるのはムリ」と思っていた人も、ITの進化で簡単にできるようになるかもしれません。
iPhone 7の新機能は、日本の家計を変えるかもしれないと思っており、それを確認するためにも、今回はiPhoneを買い換えたいところ。もちろん、わが家の財務大臣に対する「言い訳」ですけれども。
著者紹介:宮田健(みやた・たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より:
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。皆さんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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