“もの売りからサービス提供への転換”がIoTの本質、でも、どうやって?:Weekly Memo(1/2 ページ)
IoTの活用によって企業のビジネスはどのように変わるのか。それを踏まえて企業はIoTにどう取り組み始めればよいのか。この疑問についてPwCの話を聞く機会があったので、それを基に考察してみたい。
2020年のIoT市場規模は1兆7000億ドルに
最近ではさまざまな産業分野で多様な適用事例も見受けられるようになってきたIoT(Internet of Things)。ただ、多くの企業にとってその取り組みはまさしくこれからだ。
IoTの活用によって企業のビジネスはどのように変わるのか。それを踏まえて企業はIoTにどう取り組み始めればよいのか――。多くの企業が抱いているこうした疑問に対し、PwCジャパングループがIoTの最新トレンドをテーマに開催した記者説明会で見解を示した。
その内容が非常に興味深かったので、ここで取り上げながら、企業へのIoTのインパクトについて考察してみたい。
会見で説明に立ったのは、PwC米国パートナーでIoT・エマージングテクノロジーリーダーのシャヒード・アフメド氏と、PwCコンサルティング ストラテジーコンサルティングパートナーでPwCジャパン テクノロジー・メディア・通信産業リーダーの尾崎正弘氏である。
アフメド氏はまず、IoTをけん引している6つの要件について説明した。6つの要件とは、「CPU、メモリ、ストレージコストの低下」「ITとオペレーションテクノロジー(OT)のコンバージェンス」「ビッグデータとクラウドの登場」「加速するデバイスの普及」「ネットワークコストの低下」「ベンチャーキャピタル(VC)への資金や投資の増加」である。
次に同氏が示したのは、技術要素別に見た2020年における世界のIoT市場規模の予想である。図1がそのグラフで、2020年のIoT市場規模は1兆7000億ドルと見立てている。
さらに、技術要素としては「ソフトウェア」「ハードウェア」「コネクティビティ」「サービス」の4つに分かれており、それぞれの割合も示されている。同氏は「今後のIoT活用の課題の1つとして、これら4つの分野を誰かがまとめていかなければいけないことが挙げられる」と指摘した。
IoTはまた、用途別にも切り分けることができる。PwCでは消費者向けのIoTとは別に、「IcS」(インダストリアルコントロールシステム=産業用制御システム)、「IIoT」(インダストリアルIoT)と呼称し、図2のように経済的価値と産業を変化させる影響力の大きさから見れば、インダストリアルIoTのインパクトが最も大きいとしている。
関連記事
- 「Weekly Memo」記事一覧
- メガクラウドベンダーが戦々恐々!? Dell EMCの新クラウド事業戦略とは?
Dellと統合したEMCがクラウド分野で新たなパートナー施策を開始した。自らクラウドサービスを提供しない同社ならではの協業形態とはどのようなものなのか。そしてその狙いはどこにあるのか。 - 日本のICT産業の課題とは? 「情報通信白書」で読み解く解決法
総務省が先頃、日本のICT産業における現状や課題をまとめた「平成28年度版 情報通信白書」を公表した。その中から筆者が興味深く感じた図表を取り上げながら、日本のICT産業が抱える課題について考察したい。 - 日本企業はなぜ、“攻めのIT”に及び腰なのか
企業におけるデジタルトランスフォーメーションの推進には、最高経営責任者(CEO)のリーダーシップが不可欠だ。果たして日本のCEOはその心構えと覚悟ができているか。世界のCEOを対象に行われた最新の民間調査結果をもとに考察したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.