メガクラウドベンダーが戦々恐々!? Dell EMCの新クラウド事業戦略とは?:Weekly Memo(1/2 ページ)
Dellと統合したEMCがクラウド分野で新たなパートナー施策を開始した。自らクラウドサービスを提供しない同社ならではの協業形態とはどのようなものなのか。そしてその狙いはどこにあるのか。
EMCがクラウド分野で新たなパートナー施策を展開
EMCジャパンが先頃、新たなパートナー施策「EMCクラウドパートナーコネクトプログラム」(以下、クラウドコネクト)を開始したと発表した。
その内容は、EMCジャパンと提携している12社のクラウドサービスプロバイダー(CSP)が提供するクラウドサービスを、EMCジャパンの約650社からなる販売パートナー(ソリューションプロバイダーおよびディストリビューター)が再販もしくは自社のソリューションへ組み込むことにより、ユーザー企業へ一体的に提供することを促進するものである。(図1参照)
EMCジャパンがクラウドコネクトによってCSPと販売パートナーを仲介することで、CSPは個々の販売パートナーとの交渉や契約手続きを円滑に進めることが可能になり、短期間で販売網を拡大できるメリットがある。一方、販売パートナーは実績のあるCSPのクラウドサービスを利用することで、必要最小限の投資で自社のソリューションと組み合わせてユーザー企業に提供できるようになるというメリットがある。
そして、ユーザーのメリットとしては、パートナーからの提案内容が拡充され、クラウドサービスを含めたITの利用方法の選択肢を増やすことが可能になるとしている。EMCジャパンでは、クラウドコネクトの商流として、図2のようにシステムインテグレーション(SI)を伴うケースとディストリビューター経由の2系統を想定している。
クラウドコネクトのCSPには、IDCフロンティア、ニフティ、新日鉄住金ソリューションズ、伊藤忠テクノソリューションズ、NTTコミュニケーションズ、KDDI、ソフトバンク、インターネットイニシアティブ(IIJ)、ディメンションデータジャパン、ブロードバンドタワー、ヴイエムウェア(VMware)などが名を連ねている。一方、販売パートナーには、大手のソリューションプロバイダーやディストリビューターだけでなく、全国各地域で活動している中小規模のSI事業者も数多く名を連ねている。
なお、グローバルで事業を展開するEMCでは、クラウドコネクトを2015年から順次、米国、オーストラリア、インドなどで展開しており、着実に実績を上げつつあるという。EMCとしてはクラウドコネクトを推進することでCSPの事業拡大を支援し、CSPへの継続的なソリューション提供を見込んでいる。
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