覇権争いが激化 エンタープライズプラットフォームの勢力図はどう変わる?:Weekly Memo(1/2 ページ)
エンタープライズプラットフォームをめぐる勢力争いが激しくなってきた。この分野で火花を散らすSAPとOracleが先週、相次いで興味深い動きを見せた。果たして今後の行方やいかに。
「エンタープライズプラットフォーマー」とは
「日本IBMとSAPジャパンが協業強化」「OracleがクラウドERPのNetSuiteを買収」―― 先週、こんなニュースが相次いで流れた。一見、個別の話のようだが、筆者は両ニュースから「エンタープライズプラットフォームをめぐる勢力争いが激しくなってきた」と感じた。
エンタープライズプラットフォームとは、企業のIT活用を支える基盤のことである。わざわざ片仮名の長い言葉を使ったのには理由がある。聞くところによると、昨今のグローバルネットワーク社会を支える巨大企業となったGoogle、Apple、Facebook、Amazon.comは「プラットフォーマー」と呼ばれているそうだ。4社の頭文字をとって「GAFA(ガーファ)」といわれることもあるとか。
ならば、企業向けには「エンタープライズプラットフォーマー」が存在していいではないか、というのが筆者の意見である。ということで、ここからはエンタープライズプラットフォーマーによる勢力争いについて話を進めたい。
では、冒頭に挙げた2つのニュースがどう関係するのか。それは、それぞれに名前が挙がっているSAPとOracleの両社が、有力なエンタープライズプラットフォーマーとして火花を散らしている動きともとれるからだ。両社を有力なエンタープライズプラットフォーマーと位置付けたのは、SAPはERPでの高い実績と新プラットフォーム「HANA」を推進していること、OracleはデータベースやJava開発環境での高い実績があるからだ。しかも、両社ともここにきてクラウド利用にも注力しており、巨大な顧客ベースはそう揺るがない印象がある。
その両社が関わった2つのニュースの内容を簡単に紹介しておくと、まず7月27日に発表された日本IBMとSAPジャパンの協業強化については、今年4月に両社の親会社であるIBMとSAPが「企業のデジタル変革への支援」を掲げて協業強化を図った動きの一環だ。協業は広範囲にわたっているが、ポイントはIBMがSAPの最新ERP「S/4HANA」を担いだことにある。
一方、Oracleが7月28日(米国時間)に発表したのは、クラウドERPベンダーの草分けであるNetSuiteを93億ドル(約9700億円)で買収するというものだ。年内に手続きを完了する見通しで、NetSuiteは買収完了後も傘下企業として存続するとしている。
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