ガートナーが説く「企業のデジタル化に欠かせない5つの要件」:Weekly Memo(1/2 ページ)
企業のデジタル化が喫緊の課題といわれる中、それを推進する上で欠かせない5つの要件とは何なのか。米Gartnerリサーチ部門のトップが見解を示した。
企業は自ら「デジタルプラットフォーム」を構築すべし
「多くの企業が今、既存のITシステムの見直しとともに、クラウドやモバイル、ソーシャルといった新しい技術を採り入れて“デジタル化”に取り組み始めている。だが、企業全体のデジタル化を実現するためにはそれだけでは足りず、5つの要件からなる“デジタルプラットフォーム”を構築するとともに、それを推進する組織体制を整備していく必要がある」
こう語るのは、米Gartnerのシニアバイスプレジデントでリサーチ部門の最高責任者を務めるピーター・ソンダーガード氏。ガートナージャパンが10月5日から3日間、都内ホテルで開催したカンファレンスイベント「Gartner Symposium/ITxpo 2016」で講演を行うために来日し、メディア限定セッションを開いた際の発言である。
実は、ソンダーガード氏は2年前の同イベントで、「企業は新しい技術を採り入れて“デジタルビジネス”を積極的に推進すべき」と訴えた経緯がある(参照)。同氏の影響力は大きく、それから日本でもデジタルビジネス、さらには「企業のデジタル化」の動きが本格化したというのが筆者の印象だ。
そのソンダーガード氏が、企業のデジタル化に向けて「それだけでは足りない」と述べ、新たな見解を示した。そのキーワードとなるのが「デジタルプラットフォーム」である。デジタルプラットフォームといえば今や、ITベンダーが今こぞって関連する製品やサービスを整備したソリューションを提供し始めている。だが、同氏の主張は、そうしたソリューションを上手に採り入れながら、“企業が自ら最適なデジタルプラットフォームを構築すべき”ということである。
では、同氏が新たな見解として示したデジタルプラットフォームに求められる5つの要件とはどのようなものか。キーワードを挙げると、「ITシステム」「カスタマーエクスペリエンス」「IoT(Internet of Things)」「インテリジェンス」「エコシステム」となる。図1がその関係性を示したもので、「それぞれが重なり合っているところに意味がある」(ソンダーガード氏)という。ちなみに図1では、IoTを「モノ」と表記している。また、インテリジェンスとは主にビッグデータアナリティクスや人工知能(AI)技術の活用を指している。
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