「日本語対応してますか?」「もちろんです!」の落とし穴:失敗しない「外資系」パッケージソフトとの付き合い方(2/2 ページ)
外資系パッケージソフトの導入で失敗しないための方法を解説する本連載。今回からは、いよいよ失敗例をもとに導入のコツを解説していく。最初に紹介するのは、多くのユーザーがハマりがちな“日本語対応”の問題だ。
外資系パッケージソフトウェアの場合、その販売を担当する営業担当者の給料は、大なり小なり歩合(インセンティブ)があるのが一般的です。取引が巨額であればあるほど、インセンティブも大きくなるため、すんなりと返品に応じることはないでしょう。その方の生活に関わる問題になるためです。
また、売買時の契約書に「購入後に顧客事由による返品不可」といった趣旨の条文がある場合は返品は難しいですし、返品となれば、ベンダー側としては売上として計上したものを取り消すことになり、会計上の問題に発展する可能性もあります。会計年度をまたがっているとさらにやっかいな状況に陥ります。
「日本語対応」の落とし穴にハマらないために
記事冒頭に紹介したような例はまれかとは思いますが、大なり小なり認識の相違は起こりがちです。そうならないためにも、以下の点に気を付けるといいでしょう。
- 日本語の対応状況を“具体的に”確認する
- 評価版やPoCで実際に使ってみる
- 営業担当者と信頼関係を築く
最初に挙げた「日本語の対応状況」については、設定入力画面でマルチバイト文字が使用できる「国際化(Internationalization/I18N)」で十分なのか、ユーザーインタフェースやマニュアルが日本語で提供されている「地域化(Localization/L10N)」の必要があるのか、ユーザーインタフェースの言語を利用中に変更できる「多言語化(Multilingualization/M17N)」が必要なのかという判断が正しく行う必要があります。
その上で、製品を実際に使ってみるといいでしょう。最近のソフトウェアは期間限定の「評価版」や、機能を限定した「無償版」をほぼ提供しています。製品を使うのが難しくても、メーカーによってはPoC(Proof of Concept:コンセプト検証)をサービスとして用意しているので(有償の場合が多いです)、それに申し込むのもよいでしょう。買った後で後悔するよりも少ない出費でリスクを回避できるのです。
そして、メーカーと信頼関係を築くことも悲劇を避けるポイントになります。一般的には売り手側が買い手に信頼されるよう努力するものですが、営業担当者も人間です。継続的に商品を買っているなど、良好な関係を築きやすい状況であれば、さまざまな情報を引き出せるようになるはずです。
最初のポイント以外は、言語に限った話ではありませんが、いずれも外資系パッケージソフトを導入する際には大切なことです。特に2点目について、購入前にPoCを実施した場合と書面だけで購入を判断した場合では、その後のプロジェクトの成功率に大きく差が出ます。
次回は、国産のパッケージソフトウェアでもよく起こる、製品の機能にまつわる失敗例とその回避策をご紹介します。お楽しみに。
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