機能比較の「○×表」を信じて大失敗!?:失敗しない「外資系」パッケージソフトとの付き合い方(1/2 ページ)
外資系パッケージソフトの導入で失敗しないための方法を解説する本連載。今回紹介するのは製品比較のときに使う「○×表」にまつわる落とし穴。ベンダーもボランティアではなくビジネスである以上、相手の言うことをうのみにするのは避けたいところです。
「○○をしたいんだけど、このソフトで対応できますか?」「はい、それもできます!」
営業から“できる”と言われたのに、実際に使ってみると何かイマイチ……。実装にやたら工数や期間がかかったり、期待した使用感ではなかったり。そんな経験はありませんか?
外資系パッケージソフトをうまく導入するためのコツを紹介する本連載の第3回は、パッケージソフトの機能に関するお話をしたいと思います。
失敗事例2:「○×表」を信じて大失敗
製品選定のRFP(Request For Proposal:提案依頼書)を書いたことがある方は、その回答として機能比較のための対応表(〇×表)を求めたことがあるのではないかと思います。「〇〇ができること」といった機能が書いてあり、それに〇×で回答する類のものです。一見分かりやすいフォーマットに思えますが、実は“くせもの”だと知っておいた方がいいでしょう。
パッケージソフトウェアには全て、その設計思想(コンセプト)や、製品が生まれた背景――つまり、作り手の“意思”があります。「こういったことに役立ててほしい」とか、「こういう課題を解決するために使ってほしい」など、他のパッケージソフトウェアではできなかったことや、やりたかったことを実現するために開発されたものです。そのため、世の中の全ての課題に対応するような、“万能の製品”はありません。それぞれ、適用領域や得意分野があるのです。
ところが、〇×表という、個々の詳細な機能に着目した評価となると、製品のコンセプトや背景といった重要な事柄は吹き飛んでしまい、いかに「〇」を多くつけれるかということが回答者の最大の関心事になります。そこで、多少コンセプトがずれていても「こう考えれば、できると言ってもいいか」という独自解釈の末に、「それもできます!」と〇が増えていくのです。「△」と付けているのはまだ良心的かもしれません。
そうしてめでたくハイスコアを獲得し、いざ導入プロジェクトを進めてみると、実装にやたら工数や期間がかかったり、期待した性能や使用感が得られなかったり、「確かにできるけど、期待していたのと違うなぁ。これはやめておこう」ということになるわけです。
ここで大切なことは、ベンダーに比較表を依頼すると、多少なりとも自社に有利なバイアスがかかるということです。彼らもビジネスをしているわけで、受注することが目的です。“同業他社”がいる限り、これは仕方がないことでしょう。これはIT業界だけの話ではないはずです。
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