トレンド機能で武装した「SAP HANA 2」、“次世代IT活用基盤”として定着するか:Weekly Memo(1/2 ページ)
SAPがインメモリデータベースの最新版「SAP HANA 2」を発表した。次世代のエンタープライズプラットフォームを目指して同社がHANAを市場投入して6年。果たしてその勢いやいかに――。
HANAは「業界唯一のインメモリデータプラットフォーム」
「HANAを市場投入して6年がたち、グローバルでも日本でも、企業システムの新たなプラットフォームとして着実に浸透してきている。そしてこのたび、その最新版であるHANA 2を提供することによって、企業のさらなるイノベーションを強力に支援していきたい」
SAPジャパンの鈴木正敏バイスプレジデント プラットフォーム事業本部長は12月8日、同社が開いたインメモリデータベースの最新版「SAP HANA 2」の発表会見でこう強調した。HANA 2は独SAPが11月8日に発表。日本では1カ月後の発表となったが、同日に提供開始された。
SAPが2010年に市場投入したHANAは「インメモリデータベース」と呼ばれることが多いが、同社では企業システムにおけるOLTP(オンライントランザクション処理)を行う基幹系と、OLAP(オンライン分析処理)を行う情報系のアプリケーションを単一基盤でリアルタイムに実行できる「次世代プラットフォーム」と位置付けている。
さらに今回の発表会見では、「IoT(Internet of Things)がもたらすビッグデータの分析や機械学習など、企業のデジタル変革を促進する業界唯一のインメモリデータプラットフォーム」(SAPジャパンの松館学プラットフォーム事業本部エバンジェリスト)とも説明している。(図参照)
筆者がHANAに注目しているのは、データベースを核としたエンタープライズプラットフォームとして有力な存在になる可能性があるからだ。そんなSAPにとって最大のライバルとなるのは米Oracleである。OracleはデータベースやJava開発環境で高い実績があり、これまでエンタープライズプラットフォームのトップベンダーとして君臨し続けてきた。一方、SAPはERPで高い実績があるが、HANAを投入することでOracleが君臨するエンタープライズプラットフォーム市場にも切り込んだ格好だ。
SAPとOracleを中心としたエンタープライズプラットフォームをめぐる勢力争いについては、2016年8月1日掲載の本コラム「覇権争いが激化 エンタープライズプラットフォームの勢力図はどう変わる?」で解説しているので参照していただきたい。
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