あなたが「WELQ」にならないために 「引用」と「盗用」の境目は:半径300メートルのIT(1/2 ページ)
ネットの世界を揺るがした「WELQ」問題。さまざまな問題が指摘されていますが、個人的には、“デジタル情報の特長”が悪用されてしまったことが残念だと思っています。
ネットの世界を揺るがす大事件が起きました。DeNAが運営する「WELQ」をはじめとするメディアが、他者のコンテンツを無断で盗用、切り貼りした上、その真偽をチェックせず、コンテンツ制作者(一般人)に責任を負わせていたことが分かったのです。
この、いわゆる狭義の“キュレーションサイト”が起こした問題は、他の同様のサイトにも飛び火し、名だたる有名企業が次々と“キュレーションサイト”のコンテンツを非公開にしました。しかし、中には“何ごともなかったかのように黙っているサイト”もあり、私はとても疑問に思っています。これまで個人で運営しているサイトのコンテンツを、ことごとく盗用されていましたから。
アイティメディアでもかつて、広義のキュレーションをテーマにした「OneTopi」というサービスを運営していたことがあり、私もキュレーターとして参加していました。当時はこのキュレーションという言葉が、まさかここまでねじ曲げられるとは思ってもいませんでした。
本来、美術館や博物館で使われていた「キュレーション」という行為は、その道のプロにしかできないことだと思っています。それが、いつしかなし崩しになり、今回のような事態が起こってしまったのです。
ITには“やっていいこと”と“悪いこと”がある
今回、WELQに端を発した問題は、「引用の範囲を超えてコンテンツを盗用したこと」「運営者が全ての責任をライターに押しつけたこと」「医療情報などの専門知識を要する情報であるにもかかわらず、専門家の監修がなかったこと」など、さまざまな問題が指摘されていますが、個人的には、“デジタル情報の特長”が悪用されてしまったことがとても残念だと思っています。
デジタル情報は、複製が容易であり、複製しても情報が劣化しないのが便利な点です。VHSのビデオテープはダビングすればするほど画質が劣化しますが、テキストや画像のコピーをいくら繰り返しても情報が劣化することはありません。インターネットにおける「ワールドワイドウェブ」はそのような思想のもと、“知の共有”が可能になりました。
しかし、ITの力で“Webサイト上のテキストのコピーや画像の保存、情報の切り貼りができることと、それを実際に行って公開することには大きな違いがあります。ITの力でできることが、法律やルールによって禁止されていることもあるからです。
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