NEC、10メートル離れた相手の視線をリアルタイムに検出する技術を開発
通常のカメラのみで、離れた場所からでも視線の方向を高精度に検知する「遠隔視線推定技術」を開発。複数人の視線方向の同時検知も可能で、街の見守りや店舗のマーケティングへの応用を想定している。
NECは12月16日、街中や店舗などに設置された既存のカメラで離れた場所からでも人の視線の方向をリアルタイムに検知できる「遠隔視線推定技術」を開発したと発表した。同社のAI技術群「NEC the WISE」の1つになる。
視線を検知する方法は、従来では赤外線ライトとカメラが一体となった専用の装置を使い、近距離から赤外線ライトを目に当て、その反射の方向で検知していた。専用装置が必要なことに加え、カメラと対象者が数メートル離れている場合は解像度が低くなり、目の周りの特徴点を捉えるのが難しく、正確な視線検知が困難という課題があったという。
遠隔視線推定技術は、同社の顔認証技術の中核となる「顔特徴点検出技術」を応用し、視線検知に重要な目頭や目尻、瞳など目の周囲の特徴を正確に特定することで上下左右5度以内の誤差で高精度に視線方向の検知を実現。また専用装置は不要となり、Webカメラ、監視カメラ、タブレット、スマートフォンといった通常のカメラでも高精度な視線検知ができるという。
さらに、低解像度や明るさの変化への対応を強化し、カメラと対象者が10メートル離れた位置からでも視線検知を可能とした。加えて、高速に計算可能な特徴量抽出技術により、検知精度を落とすことなく、1人あたり1ミリ秒以下で視線の算出でき、複数の人物が写っている場合でも全ての人の視線を同時に測定できるとしている。
NECではこの技術を、通行人の視線の動きから、街中における避難・誘導標識の最適な配置や不審者を監視する安全・安心に関わる用途や、スーパーマーケットなどの店舗にいる顧客やデジタルサイネージに注目している顧客の視線の動きから、人気商品や人気コンテンツを推定するマーケティング用途などへの応用を視野に実用化を進めていくとしている。
関連記事
- NEC、機密情報の漏えいを防止する「秘密計算」の高速化手法を開発
データを暗号化したままで処理する「秘密計算」を従来比14倍高速化し、大規模な認証システムで利用できる性能を実現。強固なセキュリティを必要とする認証サーバや分析用データベースなどへの適用を想定する。 - NEC、タイの政府職員を対象に「実践的サイバー防御演習」を実施
増加するサイバー攻撃に対応するため、タイ政府系機関の情報システム管理者のインシデントハンドリング能力の向上を目的とした「実践的サイバー防御演習」をバンコクで実施した。 - 顔認証もできる映像管理システム、キヤノンMJとNECが開発
従来の防犯用途に加えて、宿泊施設や店舗では“お得意様”の来場を自動的に検知しておもてなしができるという。 - 三井住友銀行、セキュリティ人材の育成でNECらと協業
サイバー攻撃への対応能力を高め、NECは人材育成ノウハウを金融機関向け展開する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.