JX金属グループ、工場作業者の安全性向上にIoTを活用
「FUJITSU IoT Solution UBIQUITOUSWARE」を活用し、作業者の状態を遠隔でリアルタイムに把握し、現場作業における安全管理を強化する実証実験を実施した。
富士通は12月19日、JX金属が行った作業者の転倒時の位置や状態などを遠隔で把握して作業時の安全性向上を図る実証実験に、「FUJITSU IoT Solution UBIQUITOUSWARE(ユビキタスウェア)」の検証用セット「パイロットパック」を提供したと発表した。
「ユビキタスウェア」は、業務に合わせて人や物の状態・状況・周囲の環境をセンシングし、解析・分析することですぐに活用できるデータを提供するIoTパッケージで、クラウド、モバイル、ビッグデータ、IoTなどの最先端技術と同社SEの知見・ノウハウを融合したビジネスプラットフォーム「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc(メタアーク)」で展開しているもの。
JX金属は、グループ企業でめっき加工を手掛けるJX金属プレシジョンテクノロジー(JXPT)の館林工場で実証実験を9月に実施し、効果検証を行ったとしている。
背景には、IoT社会をけん引する高機能金属素材を製造するJX金属グループは、安全管理においてもIoTの活用を模索していたことがあった。またJXPTの館林工場では、作業者の安全衛生管理体制の一環として、一人作業時の急病など、非常事態の発生時に早急な対応をとれるシステムづくりを検討していたという。
実証実験では、人の転倒や転倒時の位置情報などを把握する「FUJITSU IoT Solution UBIQUITOUSWARE ロケーションバッジ」と、熱ストレスレベルといった人の状態を推定・把握する「バイタルセンシングバンド」を作業者が装着し、各所に配置したビーコンにより位置情報などを測定。管理者は離れた場所から、データ可視化アプリケーションによる作業者の状況把握や、転倒事故発生時のアラームなどにより、作業者の安全を重視した見守り体制づくりを支援する実験を実施した。
なお、熱ストレスレベルは、日本生気象学会の「WBGTと気温、湿度との関係」を基に、温湿度にパルス数を組み合わせて算出した熱ストレス状態を「安全」「熱ストレスレベル(低)」「熱ストレスレベル(中)」「熱ストレスレベル(高)」の四段階に分けて推定するもの。
結果として、作業者の転倒検知と位置の把握を把握する実験は、工場内の階段と通路で行い、転倒を検知し、転倒の発生と位置情報をメールで通知することで、管理者が即座に状況を把握できることを確認。また作業者の状態を管理する実験では、熱ストレスレベルが作業者の実際の状態や体感と合っていること、熱ストレスレベルが高い場合はアラームが管理者に通知され、遠隔で作業者の状態を把握できることを確認したという。
富士通では今後、今回の実証実験で得られた結果を同社のサービスに生かし、JXPTの安全管理レベルのさらなる強化と、JXグループの他工場への展開について支援していくとしている。
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