話題の「AI」を巡る最新事情:エンプラニュースナナメ読み(3/3 ページ)
2016年末から2017年の初頭にかけて、「AI」が話題に上ることが多かった。1月2日からラスベガスで開催されたConsuer Electronics Show(CES)での注目ポイントや、最近の米国での動向などから、AIの今を知っておくなら押さえておきたいポイントを解説する。
次の時代を見据えた各社の動き
当然ながら、ITベンダー各社は過去数年間にわたってAI関連の研究開発投資を続けており、次代のリーダーたるべくすでに競争がスタートしている。2017年に入ってからも話題は絶え間なく供給されており、最近ではMicrosoftが深層学習関連のスタートアップ企業Maluubaを買収したという報道があったほか、カナダのモントリオールにAI専門の研究機関を設けたことが話題になっている。
- →Microsoft acquires deep learning startup Maluuba; AI pioneer Yoshua Bengio to have advisory role(Microsoft)
- →Microsoft Expands Artificial Intelligence Footprint in Montreal(Fortune)
Watsonを提供するIBMは、2016年の取得特許が8000件超隣で業界トップとなったことを報告しているが、同時にその分野が主にAIやクラウド方面のものであることにも注目したい。
Siriというサービスを提供する一方で、AIまわりでは目立った活動があまり見られなかったAppleだが、2016年末には同社としては初のAIに関するホワイトペーパーが公開されたことが話題となった。Forbesの記事中でも触れられているが、秘密主義で知られるAppleはあまり外部に情報を積極的に公開することはない。それが将来の製品開発計画につながるものであればなおさらだ。一方でAIの世界は研究者同士のオープンな交流が推奨されていることもあり、このような形で取り組みの一端が垣間見えた点に注目が集まっている。
最後にもう1つ興味深い話題がある。“Androidの父”として知られる元Googleのアンディ・ルービン氏は、最近ではデジタルデバイスの開発支援を行うインキュベータ、Playground Globalを設立したことが知られているが、先日Bloombergが報じたところによれば、「AIにフォーカスした“本質的な”携帯電話」の開発をスタートしたという。これがAndroidのようなスマートフォンかは分からないが、これまでの携帯電話の概念を変える新しいタイプのデバイスの開発が進んでいるのかもしれない。
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