コレ1枚で分かる「SRE(Site Reliability Engineer)」:即席!3分で分かるITトレンド
これからの運用技術者に求められるアプローチとして注目される「SRE(Site Reliability Engineer)」について解説します。
この連載は
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
インフラにおける日々の運用業務は、クラウド事業者に任せられるようになりました。またインフラを使うために必要な設定は、クラウドであればツールやAPI(Application Program Interface)を介して使えるようになり、アプリケーション開発者にもできる時代です。このような仕組みが、先に紹介したインフラを設定する全ての手順をコード化する「インフラストラクチャアズコード」です。
こんな時代に運用技術者に求められる役割も大きく変わろうとしています。例えば、これまで求められてきた業務は、次のような内容でした。
- ITの実務上の利用方法について問い合わせを受けて対応する窓口業務
- 定められたオペレーションを繰り返し実施する定常業務
- ITに関するトラブルに対応する障害対応業務
- インフラに関する管理業務(構成管理やキャパシティー管理など)
このような業務は積極的にクラウドサービスや自動化ツールに置き換え、どんどん変わるビジネス要件に柔軟・迅速に対応できるインフラ環境を作ることへと、業務の重点を移していくことが求められています。
具体的な業務は次のようなものです。
- 変更への即応性や信頼性の高いシステム基盤を設計
- 運用管理の自動化/自律化の仕組みを設計・構築
- 開発者が利用しやすい標準化されたポリシーやルールの整備 など
このような役割を担う技術者は「SRE(Site Reliability Engineer)」と呼ばれています。彼らは、開発者とサービスレベルの目標値を共有し、協力しながら開発やテスト、本番稼働に必要なインフラ環境をすぐに使える組織横断的な仕組みを作ることに取り組みます。
インシデント対応やインフラの安定稼働といった守りの役割から、加速するビジネススピードの変化に対応し、「ビジネスの成果に貢献する」することへと、運用技術者の役割は、大きく広がろうとしているのです。
*参考とした資料:「NoOps」の時代がこない理由
*合わせてご覧いたきたい資料:「これからの開発と運用:ビジネスの成功に直接貢献すること」
著者プロフィル:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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