家庭用NASと企業用NAS、決定的な違いは:仮想化&ストレージの基礎と最前線(2/2 ページ)
ネットワーク接続型のストレージ「NAS(Network Attached Storage)」の特徴やメリットとは? 用途によって家庭用と業務用に分け、それぞれのポイントをまとめます。
企業用NASの用途と選び方
NASは、「大量のファイルを安全に保管したり、複数人で共有したい」というニーズに応えられる情報集積スペースであり、当然ながら企業でも多く使われています。
NASは、共有しているファイルに対するアクセス権限を詳細に設定できます。そのため、企業で利用する場合、部署ごとにファイルに対するアクセスを「閲覧のみ」「編集も許可」などと細かく指定することができます。
なお、企業では、使う人数が問題になることが多いようです。従業員が多い企業の場合、1台のNASに多くのアクセスが集中することになるため、転送速度やパワーなどが求められます。
また、大企業における大規模ネットワークでNASを利用する場合は、LAN配線用のハブとデバイスの台数分のLANケーブルが必須となります。
ファイルの共有やバックアップ機能など、利用の幅がとても広く、使い勝手のいいNAS。家庭でも企業でも、1度使うとやめられなくなるほど業務効率が高まります。
■企業用NASに求められる機能
企業で使うNASは、家庭用途とは異なり、多くの人で1台のNASを共有するため、特に以下の点が重要です。
- 信頼性が高いこと
- 管理がしやすいこと
- データが守られていること
- 拡張しやすいこと
- 特定用途に向いていること
信頼性については、コンポーネントを冗長化することで、何かしらのハードウェア障害が発生しても、そのまま稼働し続ける仕組みをとることができます。2重化または3重化されているNASもあり、アクセスできないという事態を避けるように設計されます。
管理のしやすさについては、ユーザー一人一人の使える容量(Quota)を設定したり、性能の上限を設けたり(QoS)することで、管理者が面倒を見なくても、ある程度ルールを守って利用できるような機能を備えていることが大事です。また、ユーザーのアクセス権限を管理できるツールなども必要です。
データ保護については、データが消去・紛失した場合に元に戻せる機能が必要になります。スナップショット、バックアップ、レプリケーションなどを利用して、普段からデータを復旧させるプロセスを確立しておくことが重要です。さらにセキュリティ面も、企業使用では特に重要になります。
拡張のしやすさについては、NASを動かし続けながら容量を増やす作業を行えるというのが、特に企業にとっては必要な機能でしょう。
また、昨今、容量密度が上がっているHDDやSSDを有効に使わない手はありません。その容量を増やす作業も、できれば簡単に行えるのが良いでしょう。
■特定用途に向いたNAS
複数の人が同じストレージにアクセスできるというイメージを、複数のアプリケーションや複数のサーバに置き換えることで、単なるファイル共有以上の用途が見えてきます。
物理サーバに仮想環境を導入して、複数のサーバを仮想的に運用する場合、ハイパーバイザーがNASのプロトコル(NFSやSMB)に対応していれば、NASに仮想マシンのカプセル化したファイルを格納して運用できます。
VMware ESX、Microsoft Hyper-V、Citrix XenServer、Red Hat Enterprise Virturizationなどのメジャーなハイパーバイザーは、NASのプロトコルに対応しています。
企業の共有ストレージでよく使われるブロックストレージの場合、仮想マシンのカプセル化したファイルがどのような挙動をしているかを把握することはできませんが、NASであれば、それぞれの仮想マシンの挙動を監視することが可能となります。
例えばTintri VMstoreは、NASとしてサーバに接続し、ファイルを認識して仮想マシンの挙動を把握することも可能な仮想環境専用ストレージです。
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