「DMP導入で業務がラクになる」という勘違い:DMP成功まで、あと1センチ(8)(3/3 ページ)
DMPを導入すれば、業務が楽になると思っていた――。そんな“勘違い”をしている企業は意外と多いもの。DMPは構築して終わりではなく、むしろそこからが本番。今回のテーマに「あーあるある」とうなずいてしまったアナタ。危険な職場にいるって、分かってますか?
何でもかんでも“やりっぱなし”な会社になっていないか?
今回は「問題が目の前にあるのに、違和感を抱かない職場」をテーマにしているわけですが、文字にすると、結構危ない状況だと思いませんか?
この話を「あぁ、あるあるだね」とソーシャル上で呟いているあなたが、プロジェクトの当事者ならば、はっきり言って危険な戦場に身を置いていると言わざるを得ません。どんなプロジェクトも、最初に立てた目標通りになったのか、実行後に計測するべきです。やりっ放しではいけません。
社会学者のウィリアム・ブルース・キャメロンが、1963年に発表した「Informal Sociology」というテキストの中で、次のように述べています。
not everything that can be counted counts, and not everything that counts can be counted.(数えられること全てが大事ではないし、大事なこと全てが数えられるとはいえない)
昨今、PVやCTRといった数値化できる指標のほかに、人気度やユーザーのモチベーション、クオリティといった数値化しにくい指標を知りたいというニーズが増えています。しかし、それらを定量的に評価できた企業は少なく、各社手探りの状況が続いています。
しかし、だからと言って、数えなくてよいというわけではありません。最初に立てた目標と実績が1%もずれないというケースは少ないでしょう。歴戦のデータサイエンティストですら、予測は結構外れるものです。だからこそ、そのズレがなぜ生まれたのか、理由を分析し、次回の実行時に参考するという細かいチューニングは欠かせません。
DMPを導入したけど、それで終わり。そこで止まっていることに違和感を覚えない職場は、他の仕事も押しなべてそうなっていませんか? これからの時代、それでは成長は見込めませんし、市場で生き残ることは難しいでしょう。私は先ほどの一文に加えたい言葉があるのです。
However, it must be counted.(とはいえ、数えなければ(計測しなければ)ならない)
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