5分で分かる「Microsoft Azure」:Azure漫遊記(2/2 ページ)
Microsoftのパブリッククラウドである「Microsoft Azure」は、2017年でサービス開始から7周年を迎える。本連載では自社の基幹システムや業務システムをオンプレミスサーバで運用しながら、クラウドへの移行タイミングを探りつつある担当者向けに、Azureの実装方法や事例を紹介する。
ポイントはオンプレとの親和性の高さ
Azureの特徴といえるのが、オンプレミスとクラウドの親和性に配慮している点だ。現在の企業を見てみると、「ある部署ではAzure、他の部署でAWS(Amazon Web Service)、さらに別の部署はオンプレミスサーバを使う」といった運用形態が珍しくない。Microsoftはクラウドビジネスにおいてオンプレミスを否定せず、今後も全てがクラウド化することはないと推察しており、こうした混在環境下でも使いやすいのがAzureの特徴だという。
ユーザーがどのような場面でもクラウドの利点を有効活用し、ビジネスの価値を最大化できるようにするためのリソース(コンピューティング、ネットワーク、ストレージ)を核とし、さまざまなシステム連携を実現する――。そんなAzureのイメージを図で示すと次のような形になる。
Azureは、核となるAzureリソースをAPIベースで連携し、AzureやAWSといったパブリッククラウドやオンプレミスサーバ、個別のデータセンターを、場面に応じて選択できる「インテリジェント・クラウドプラットフォーム」を目指しているというわけだ。
このような形であれば、オンプレミスサーバ向けに開発したシステムをクラウド上にリフト&シフトさせる場面や、クラウド上で開発したソリューションをコンプライアンス面の理由からオンプレミスサーバに展開する場面、ビジネス戦略として基盤を米国など海外に集約させるといった場面でも対応できる。
「クラウド自体が革新的な存在なのではなく、スマートフォンなどのデバイスが普及し、クラウド上のデータベースにさまざまな場所からアクセス可能になることで生まれた変化が革新的」――。これがクラウドに対する佐藤氏の見方だ。
「クラウド化やリフト&シフトは一度棚に上げて、事業のグローバル展開などといった“逆転的発想”に思考を変えると面白いビジネスが生まれる。その世界に、より多くの人が参加してほしい」(佐藤氏)
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