“よくあるファイル命名ルール”でデータ消失の危機?:半径300メートルのIT(2/2 ページ)
先日、ソースコードを管理するサービス「GitLab.com」で、管理作業中に誤って本番データベースを削除してしまうトラブルが発生しました。実はこの事件からは、エンジニアでない私たちも学ぶべき点があります。
気になるのはその名前。「1」「2」しか違いません。エンジニアの作業的に、これが本トラブルの原因であるとは思いませんが、私たちは、ドキュメントやスプレッドシートに対してこういう名称を付けがちで、それがトラブルの原因になることが多いような気がします。
Office文書を作成してなにかの作業を行っていたとき、ちょっとしたバックアップのつもりでファイル名の頭に「新」と付けたり「最新」と付けたり、末尾に「2」「3」「4」……と連番を付けたり。そしてその作業を引き継いだ人が、本当は最新ではない「最新」ファイルに対して作業をしてしまって……という話はよくあります。
それを考えると、遠隔操作をする可能性があるもの、例えばグループで管理するファイル群などは、連番を使わないなどの「命名規約」をあらかじめ作っておくことがトラブル防止の1つのアイデアなのかもしれません。もちろん、新、最新、真、最終……といった修飾語も。
振り返ってみると、大学時代や新入社員のころに知り合ったシステム管理者はみな、サーバを連番ではなく、惑星の名前などで統一していたのを思い出します。きっと夜空が大好きか、それともセーラー戦士なのか……。
こういった名称規則をあらかじめ作っておくことは、トラブル防止に役立つだけでなく、ちょっとした気分転換になるかもしれませんね。ちなみに計算機の命名規約についてはRFC 1178でも触れていますので、迷ったときはこちらをどうぞ。
著者紹介:宮田健(みやた・たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より:
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。皆さんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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