カプコンに“攻めのIT”部隊が生まれる日:データがクリエイターとビジネスをつなぐ(1/3 ページ)
BIツールを使い、データ分析文化が広がりつつあるゲーム業界大手のカプコン。同社では、今オンラインサービス関連業務の組織改革が進んでいるという。部門横断の新組織が生まれた背景やビジョンを聞いた。
オンラインゲームにおけるユーザーの行動を分析するために、セルフサービスBI「Tableau」を導入したカプコン。最初はたった1人で始まった“データ分析担当”だったが、二瓶美帆さんの尽力により、『ドラゴンズドグマ オンライン』や『モンスターハンターフロンティア-Z』をはじめとするオンラインタイトルでは、Tableauを使って複数人のチームで分析業務を行う体制ができつつあるという。
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その動きを後押しするかのように、同社では社内のゲームインフラ基盤の共通化を担う部署が新設され、二瓶さんもその新部署に異動となった。
部署の名前は技術研究開発部 通信技術室 東京通信技術チーム。長い歴史がありそうな名称だが、2016年11月に発足したばかりのチームだ。これまで、各製品の開発現場でバラバラに行っていた、オンラインゲームのインフラ構築や運用を社内横断的に引き受け、会社として技術を確立していくことがミッションだという。
オンラインゲームのサービス基盤開発と運用を“横串”で担う
新チームのマネージャーである高野和之さんによると、「技術研究開発部」というのは、カプコンが本社を置く大阪で、ゲーム内の開発環境全般の開発や運用を担当する部署だった。
東京で発足したチームは、オンラインゲームなどのインターネットが関わるサービスの基盤開発や運用を担当する。オンラインタイトルを運営していく上で必要なデータ分析環境を整えることも任務の1つで、Tableauの導入支援や分析手法の勉強会を行っている。
このチームができるまでは、ゲームタイトルごとにインフラ担当のエンジニアがおり、個別にシステムを開発していくスタイルだった。IT関連の組織体制を変える理由を、高野さんは次のように話す。
「各部署にエンジニアがバラバラにいる状況では、全社的に技術を確立したり、共通の基盤を作るような動きをとったりするのが難しいですし、エンジニアやサーバといったリソースの使い方も無駄が多くなってしまいます。そこで、事業部の事情に左右されず全社のR&D部門的な立場で動けるチームを作ろうと、各部署からメンバーを集めたのです」(高野さん)
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