ぴったりフィットするクラウドERPスイート? Oracle傘下のNetSuiteが常識を覆す新モデル:SuiteWorld 2017 Report(2/2 ページ)
クラウドERPの雄、NetSuiteがOracleによる買収後、初となる年次カンファレンス「SuiteWorld 2017」をラスベガスで開催した。クラウドの強みをさらに生かすべく、ERPの常識を覆す新たなモデルを発表した。
また、同じクラウドの土俵では、人事管理を得意とするWorkdayが急成長しているが、NetSuiteも「SuitePeople」を投入し、抜かりなく手を打ってきた。
マッギーバー氏は、このSuitePeopleを「ERP、CRM、SCM、e-コマースに次ぐ、最後のピース」と位置付け、単一の統合されたクラウドスイートを最大の武器とし、売り込んでいきたいとする。6月には広く利用できるようになるが、既にPR会社大手のFinn Partnersが早期導入して成果を上げているという。
より細かな業界別スイートでぴったりフィットを目指す
人事管理のSaaSを「最後のピース(カテゴリー)」と呼んだマッギーバー氏だが、クラウド型の統合スイート自体はまだまだスタートラインに立ったにすぎないと話す。
マッギーバー氏は、「NetSuiteは企業の業務全体を支えるクラウドスイート。顧客企業にとってはコアであることをわれわれはよく理解している。業界の専門知識、短期導入、拡張性などの点で、まだまだ課題はある」とし、その回答として、業界ごとの製品開発はもちろん、業界ごとのセールスやデリバリー、サポートの手法を「SuiteSuccess」として取りまとめ、大々的に展開していくことも明らかにした。
今回のカンファレンスではその第一弾として、以下の8つの業界で合計12のエディションが発表された。NetSuiteの約20年に及ぶ業界ごとのベストプラクティスだけでなく、セールスからサポートまで、さまざまな業界別アプローチを集大成したもの。マッギーバー氏自身が主導し、2年前からこうしたモデルに開発に着手し、今回発表にこぎ着けたという。
- Advertising, media, publishing
- Financial technology
- Manufacturing
- Nonprofit
- Retail
- Service-based businesses
- Software/internet
- Wholesale distribution
既に300の企業でこのモデルによる導入が進み、これまでに比べ平均60%も導入期間を短縮でき、実装のコストも18%節約できたという。基幹業務ということもあり、にわかには信じがたいが、300の顧客から出された変更要求はわずかに4つにすぎなかったという。
マッギーバー氏がSuiteSuccessモデルの顧客としてステージに招き上げたのは、フロリダ州クリアウォーターに本拠を置くPODS Enterprisesのビル・ティングルCIOだ。
Portable On-Demand Storageの頭文字を取ったPODSは、コンテナを使った引っ越しサービスや保管サービスを個人や企業に提供している。フランチャイズも含め、北米、英国、およびオーストラリアで事業を展開、現在230拠点で17万ものコンテナを管理しているという。
「多通貨対応をはじめ、NetSuite OneWorld(グローバル対応版)の機能は十分だった。アップグレードの手間もなく、短期でグローバル展開できることが決め手となった。ERPの導入というと、複雑でリスクを伴うものという印象があったが、全く違い、ぴったりとフィットした」とティングル氏。
「セールス段階でデモを見せながら顧客の課題を理解し、解決を支援していくアプローチだから開発段階での変更やカスタマイズが極端に少ない。今後も、例えば、リテール業界向けをさらに書店向け、さらには大学キャンパス内の書店向け、といった粒度で差分を開発し、エディションを細分化していきたい」とマッギーバー氏は意気込む。
関連記事
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.