古くさい常識や感性の研修で「デキる新人」に愛想を尽かされていないか?:ITソリューション塾(2/2 ページ)
“一昔”は1年前、“二昔前”は3年前と心得よ”といわれるITの世界。会社の未来を託す新人たちに、きちんと最新のトレンドを伝えることができているだろうか? 意図せず“古いくさい”教育を押し付けてはいないか?
営業もエンジニアもともに「プログラミング」や「ネットワークの構築」を徹底的に学ばせ、「情報システムの基礎」と称し、コンピュータの動作原理やアルゴリズム、ウォーターフォール開発の手順や運用業務の内容を学ばせる。このような研修に意味がないなどと言うつもりはない。原理原則や基礎をしっかり理解してこそ、最新も理解できるし、その意味や価値も分かる。
しかし、問題なのは、「そこで終わっている」ことなのだ。つまり、「30年前の最新」で研修を終え、今日までの残りの30年は、配属現場や自助努力に委ねてしまっている。
- クラウドが前提の時代にクラウドとは何かをまともに教えていない
- AIやIoTなどに触れることなどない
- コンテナやサーバレス、アジャイル開発やDevOpsとなると、言葉の断片さえ出てこない
新入社員には、最新のトレンドをまっとうに教えるべきだろう。エンジニアであれば、AWSやAzureを使わせ、Slackでコミュニケーションしながら、コードはGitHubで共有する。そして、モバイルやWebアプリを作る、Raspberry PieやArduinoを使って動くモノを作ってみるのも面白そうだ。
自分たちの過去の感性や常識を前提とした新入社員研修を行って、彼らを自分たちの価値観と同化させようというのが目的であれば、これまでの研修は実によくできている。しかし、彼らに未来を託し、会社を変えていってもらいたいというのであれば、これでは無理がある。多分、できる連中は、すぐに自分たちの会社の現実と世の中の常識のギャップに気付き、そこを去っていくことだろう。
もちろん研修だけのことではないが、一事が万事だ。自分たちが新入社員にどのように向き合っているのだろうか。そのことをあらためて問い、できることから始めてみてはどうだろう。
著者プロフィール:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィールはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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