“クラウド後進国、日本”は、変われるか ガートナーの見方は:Weekly Memo(2/2 ページ)
日本のクラウド市場はどのような状況になっているのか。ガートナージャパンが先頃、その最新動向について説明した。その中から筆者が興味深く感じた内容を取り上げたい。
日本のクラウドIaaS「マジック・クアドラント」初公開
さて今回、筆者が亦賀氏の講演から最も取り上げたかったのが、日本におけるクラウドIaaSの「マジック・クアドラント」の最新状況を示した図3である。この図は、日本におけるIaaSベンダーの勢力図をひと目で分かるように示したものである。ガートナーが日本のIaaSベンダーを対象にしたマジック・クアドラントを公開するのは、これが初めてだ。主要な評価項目は図の右側に示されている。
個々のベンダーのポジションが興味深いところである。加えて、2016年8月15日掲載の本コラム「クラウドサービス市場の覇者は? 最新勢力図を検証する」において、世界におけるクラウドIaaSのマジック・クアドラント(2016年版)を掲載しているので、ぜひとも見比べてみていただきたい。また、同コラムでは、マジック・クラドラントの見方についても詳しく説明しているので参考にしていただきたい。
さらに、亦賀氏の講演からもう1つ、「クラウドに関する『今でもよくある誤解』と推奨」と題した図4を取り上げておきたい。「誤解」「リアリティ」「アクション」の3つの観点から、同氏ならではの洞察と分析によって、クラウドに関する誤解を解くポイントを記している。例えば、4番目の「クラウドにすれば安くなる」との誤解は、「同じクラウドでも価格は大きく変わる」のがリアリティなので、「価格モデルを理解する」ためのアクションを起こすべし、といった具合だ。
亦賀氏のこうした洞察と分析については、2016年5月2日掲載の本コラム「業務システムのクラウド化、成功のカギは『松・竹・梅』の見極めにあり」、2015年6月1日掲載の本コラム「あらためて問う『クラウドの本質的なメリット』」でも解説しているので参照していただきたい。
IT業界ではこのところ、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)をめぐる話題がにぎやかだが、クラウドはこれらを支える存在としてもますます大きな役割を担うことになる。その意味では、まさにガートナーが言うように「本格利用前夜」を迎えたところである。本格利用に向けて、クラウドがどのようなビジネスイノベーションをもたらすか、引き続き注目していきたい。
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