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SXSW 2017観戦記 セキュリティや先端技術をIBMが料理すると(前編)柴崎辰彦の「モノづくりコトづくりを考える」(2/2 ページ)

“IT界のパリコレ”ともいわれる「SXSW 2017」で見聞きした刺激的なあれこれをレポート。今回は、“IBM is making”を掲げたIBMの展示から、音声コントロールでリアルすぎるVR空間や、あらゆるデバイスがゾンビ化するIoT時代ならではの脅威などを紹介します。

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4. ハッカーがみんなのコンピュータをゾンビに変えたら?(GLOBAL THREATS)

 日々、非常に多くのサイバー攻撃が、IDやデータ、金銭などあらゆるものを盗もうとしています。それは、特定の送信元からだけではなく、マルウェアに感染した身近な人からも送られることもあります。こうしてサイバー攻撃はすごいスピードで拡散する――。このデモは、その様子をシミュレーションし、可視化しています。

 攻撃を受けるのはノートPCやタブレットだけではありません。電球や車までもスマート化している昨今、これら全てのデバイスが攻撃の対象となるわけです。このようなBotnet(ゾンビ化したデバイスの集まり)を利用するのは、よくある攻撃の1つらしく、デバイスがつながればつながるほど、脅威(Threat)は増します。対策の必要性は、これからますます増していくのでしょう。

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ダークなイメージとは裏腹に攻撃を俯瞰(ふかん)するグラフィカルなイメージが目を引いた

 SXSWでは、新しいデバイスなど、きらびやかな展示も多いのですが、セキュリティのような基盤の技術も非常に重要です。こうした地道な技術もちゃんとやっているという点が、IBMらしく、さすがという点です。

 目に見えないので分かりにくいセキュリティの脅威をいかに理解してもらうかに注力しているのが、SXSWでのIBMらしさ。デジタル化が進行する世界では、セキュリティ技術をちゃんとやるのは当たり前なのでしょう。

5. セキュリティアナリストを支援(CORORATE THREATS)

 先のデモが自動で可視化する内容であるのに対し、こちらは、セキュリティの担当者であるSecurity Analystをサポートするもの。デモは、ゲーム感覚のシミュレーションツールで、シナリオは大体こんな感じです。

  • アメリカ、ドイツ、中国に展開しているグローバルバンクのセキュリティ担当者が、いつ、どこで特定のイベントが起きたかを調査することにより、セキュリティ上のインシデントを90秒以内に調査する
  • 調査するイベントを選択し、「マルウェアである可能性のあるファイルがホストで見つかった」このイベントと関係のある口座を選択
  • ソース側のIP addressを選択、ターゲット側のIP addressを選択し、最終的に脅威となるかどうかを判断する
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ストーリー性を持たせて体現できるところが興味深い

 脅威に対して自動的に処理するシステムだけではなく、このように人をサポートするシステムをデモとして出している点がユニークです。実際に90秒でできるかは別として、それぐらいの早さでインシデントレスポンスできないと、現実的に意味がないということだと思います。

6. サイバー攻撃から組織を守る(INSECURITIES)

 「IBM QRadar」がサイバー攻撃から組織を守るソリューション。「IBM Blockchain」とセキュリティの脅威に関する情報を共有するためのクラウドベースのプラットフォーム「IBM X-Force Exchange」を活用しています。

 X-Force(セキュリティ研究開発チーム)は、もともとISSという会社が持っていたのをIBMが買収したようです。

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デジタル領域でのセキュリティを重要視していることが分かる

7. あなたのデータは狙われている(IBM BLOCKCHAIN)

 これは、重要なデータがどれだけサイバー泥棒に渡されているかを見てみるデモ。既にブロックチェーンをセキュリティに活用しているようです。

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自らの画像データをもとにサイバー犯罪の身近さを体験できる

 記事を通して“IBM is making”というメッセージに込められた意味をお分かりいただけたでしょうか。次回は、「PERSONAL」「HEALTHIER」のコーナーのデモについて紹介したいと思います。

著者プロフィール:柴崎辰彦

富士通 グローバルサービスインテグレーション部門 デジタルフロント事業本部長代理。

著書『勝負は、お客さまが買う前に決める!』(ダイヤモンド社)。詳しいプロフィールはこちら


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