APIで社内、そして世界とつながる――リクルートのAI活用、そのキーマンに迫る(1/4 ページ)
自社サービスにAIを積極的に導入しているリクルートだが、その活用を推進する部署がリクルートテクノロジーズにある。彼らがどのようにして業務部門と連携しているのか。そのカギの1つに「API」があるという。
「ウチも人工知能を使って、何かできないだろうか?」
こんな“ムチャぶり”を受けて困り果ててしまった――というケースは今、増えているのではないだろうか。「人工知能(AI)に関する10の『よくある誤解』」を発表したガートナーも、AIの誤解されやすいポイントとして「すごく賢いAIが既に存在する」「IBM Watsonのようなものや機械学習、深層学習を導入すれば、誰でもすぐに『すごいこと』ができる」という2点を挙げている。
確かにAIには大きな可能性がある。しかし、それを正しく理解し、業務とつなげられなければ、AIがその価値を発揮することはない。一般的にAIをビジネスに生かそうとするときには、業務課題などのニーズがプロジェクトの起点になるケースが多いが、それとは逆のアプローチを取り入れる企業がある。「リクルート」だ。
リクルートグループのR&Dや、新ソリューションの開拓を担うリクルートテクノロジーズでは、グループ全体のサービスから得られる膨大なデータをビジネスに生かすべく日々奮闘する、ビッグデータ部がある。彼らはグループ企業とのコラボレーションを行うほか、最近ではAPI(Application Programing Interface)を社外に公開するなど、活動の幅を広げているという。
社内にたまったデータと最新の技術でできることを模索し、提案する
ビッグデータ部では、各事業の現場から上がってくるニーズを受けてソリューションを提供する以外にも、技術起点で研究開発を行い「この技術を、サービスに生かせないか?」と現場に提案するアプローチを採っている。課題ありきのソリューションだけでは、イノベーションを起こすことは難しい、という考えからだ。
技術視点のアイデアを提案する際は、まず個人的に興味がある分野や技術についてグループ内で話をし、アイデアを膨らませていく。その後、デモを作って各事業会社に持っていくという。
「デモを見せて『これ、面白いじゃん』と言ってもらえればその方向で進みますし、『そうじゃなくて、こっちなんだよね』という反応であれば、その意見をもとに内容を調整し、また持っていく。そんなふうに細かくサイクルを回していくうちにプロダクトに落とし込まれていく、というプロセスですね」(リクルートテクノロジーズ ITソリューション統括部 ビッグデータ部 ビッグデータプロダクト開発グループ 高橋諒さん)
関連記事
- 脱Excelで生産性15倍、リクルートが「Tableau」を選んだ理由
データ分析に「セルフサービスBI」を検討している企業は多いが、業務部門主導でデータ分析を行う文化を作るのは簡単なことではない。そこで「Tableau」でさまざまな成果を上げているリクルートライフスタイルに、導入のポイントやツールの活用方法を聞いてみた。 - コレ1枚で分かる「APIエコノミー」
ビジネスの拡大を目指してAPIを公開する企業やサービスが増えつつある今、「APIエコノミー」の特徴や新たなサービス創生の仕組みなどについて整理しておきましょう。 - ビッグデータで社会をあっと言わせるサービスを リクルートテクノロジーズ・泉さん
月間で数十億レコードという大量データを生成するリクルートは、ビッグデータの専門組織を立ち上げ、ビジネス成果を生み出すためのデータ活用基盤を構築。そのプロジェクトを率いる泉さんが考える未来像とは――。 - リクルートテクノロジーズ、機械学習活用のためのAPI群「A3RT」を無料公開
リクルートテクノロジーズは、機械学習やディープラーニングを用いたソリューションAPI群「A3RT(アート)」を公開した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.