コレ1枚で分かる「ブロックチェーンで使われる暗号技術」(2):即席!3分で分かるITトレンド
ブロックチェーンで使われる暗号化技術「ハッシュ関数」と「公開鍵暗号」を組み合わせることで実現される「電子署名」について、特徴と用途を解説します。
この連載は
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! いまさら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
前回、「ハッシュ関数」と「公開鍵暗号」について解説しましたが、この技術を組み合わせることで、送信者が送ったデータが改ざんされずに受信者に届いたことを証明することができるようになります。この仕組みは「電子署名」と呼ばれます。手順は次の通りです。
- 送信者は、送ろうとしているデータの「ハッシュ値」を作ります
- そのハッシュ値を自分の秘密鍵で暗号化します
- 暗号化されたハッシュ値を、これから送るデータに付加します。この部分を、電子署名と呼びます
- 送信者は、この電子署名が付加されたデータを受信者に送ります
- 受信者は、電子署名の部分をあらかじめ送信者から送られていた公開鍵で復号し、ハッシュ値を取り出します
- 受信者は、データ部分のハッシュ値も作ります
- 電子署名とデータのそれぞれのハッシュ値を比較して、両者が同じであれば、データは改ざんされずに送信者から受信者に渡ったことが証明されます
ハッシュ関数、公開鍵暗号、電子署名を、ブロックチェーンでは次のように使っています。
- 公開鍵暗号で、匿名性を守りながら個人をひも付ける
- ハッシュ関数で、取引ブロックのハッシュ値を作り、それを一連のブロックに順次埋め込み、取引の改ざんを防ぐ
- 電子署名で、取引内容の改ざんを防ぐ
それぞれの技術はどれも新しいものではなく、以前から普及している技術です。これらの信頼できる“枯れた”暗号技術を巧みに使いこなしているところに、ブロックチェーンの革新的な側面があるともいえるでしょう。
著者プロフィル:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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