警備員や監視カメラをキョロキョロ、これは明らかに不審な動きだ――。カメラで人の視線を推定し、怪しげな挙動の人間を推定する。防犯カメラにそんな機能が標準で搭載されるようになるかもしれない。
6月20日に東京・三田警察署が行ったテロ対処合同訓練にNECが協力、注視すべき不審者を検知するために同社の「遠隔視線推定技術」を利用するデモを行った。同技術は目頭や目尻、瞳など目の周囲の特徴を正確に特定することで、上下左右5度以内の誤差で視線を検知する。
Webカメラ、監視カメラ、タブレット、スマートフォンといった通常のカメラでも高精度な視線検知ができるため、ソフトウェアを入れれば、すぐに視線推定ができるようになるのが特徴だ。
訓練では、不審者の検知から取り押さえ、そして爆発物処理など一連の流れを想定しており、視線推定による早期検知は、爆発や有害物質の飛散といった事故を未然に防ぐための技術といえる。「実導入の際は、視線推定に合わせて、異常な動きをしていたらアラートを出すシステムを構築することを想定している」(NEC)という。
同技術は2016年12月に発表していたものではあるが、一般向けに公開するのは初めて。今後は実証実験を積み重ねつつ、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を見据えた実用化を目指す。テロの脅威をどのようにITの力で防ぐか、NECをはじめ、メーカー各社の試行錯誤が続いている。
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