敵は社内にあり! 抵抗勢力との向き合い方 「表に出た抵抗に対処する」:榊巻亮の『ブレイクスルー備忘録』(1/2 ページ)
怒涛の勢いで抵抗にあっても、焦ってはいけない。表立った反応を見せる抵抗勢力に対処するには、「課題認識」のズレと「目指す姿」のズレに注目することがカギとなります。
この記事は榊巻亮氏のブログ「榊巻亮の『ブレイクスルー備忘録』」より転載、編集しています。
「抵抗勢力との向き合い方」を解説する連載の4回目は、「表に出た抵抗に対処する」方法について解説する。
「表に出た抵抗」は、批判がハッキリ見えているだけに、対応を誤ると、致命傷になる。対応を間違えると、人間関係までこじれてしまうことも……。さてどう対応すべきか?
『抵抗勢力との向き合い方』からエッセンスを紹介
- 抵抗勢力との向き合い方 〜予告編〜
- 抵抗とは何か? 〜抵抗は悪ではない、むしろ歓迎せよ〜
- 隠れた抵抗を見逃すな 〜隠れた抵抗こそ全てのカギ〜
- 表に出た抵抗に対処する 〜2つのズレを解消せよ〜
- 頑固な抵抗に対処する 〜7つの常とう手段を総動員〜
- 誰を巻き込むべきか 〜チーム編成の極意〜
- 強い変革チームを立ち上げる 〜対症療法ではなく、根治治療で抵抗と戦う〜
表に出た抵抗には、2段階で対応する
あからさまに抵抗されていると、人間の心理としては、とにかく早く対応してしまいたくなる。だが、焦ってはいけない。2段階で土台を固めながら、慎重に解消していく必要がある。
1段階:指摘や不満を“明らかにする”
真っ先にやるべきは、指摘不満を明らかにすることだ。
「明らかにする? ハッキリ批判されているのだから、既に明らかになっているのでは?」と思う方もいるかもしれない。
しかし、ハッキリ批判されているからといって、指摘が明らかになっているとは限らない。
……どういうことなのか? 1つの事例を紹介しよう。
【怒濤(どとう)の勢いで指摘される】
3年ほど前に支援したあるプロジェクトで、システム導入を検討していたときのことだ。
システム導入後の新しい業務プロセスを設計し、現場のキーマンに見てもらった。業務が良くなるか、詰めが甘い部分や無理がある部分があるか、負荷が高くなる部分はないかをチェックしてもらうのが目的だった。
そのときの会話は、こんな感じだ。
私 「こんなふうに将来業務を設計しました。まだあらい状態なのですが、懸念点など、フィードバックをいただけないでしょうか?」
と説明すると、私が言い終わるか終わらないうちにキーマンが畳み掛けてきた。
キーマン 「いや〜。○○も駄目だし、△△も考慮してないでしょ? ××はどうなっているの? そもそも□□のリスクを見込んでいるのかな? そこまで考えてくれないと、現場としてはちょっとねぇ。そんな状況だと、このプロジェクトは厳しいと言わざるを得ないな」
私 「うっ……」
何かを変えようというプロジェクトでは、こういうことが日常的に起こる。こうなると、ついこう答えたくなる。
「いやいや、考慮してますよ! リスクについてはですね……」
これはNGなのだ。指摘や不満を明らかにせず、逐次反論して押し通そうとする動きといっていい。
まずやるべきは、「洗いざらい、指摘や不満を書き出す」ことだ。このときはこんなふうに対応した。
【きちんと書き出す】
私 「なるほど、たくさんのご意見ありがとうございます。ちゃんと整理したいんですが、書き出していいですか?」
そんなふうに切り替えして、◯◯も、△△も、××もアレもコレもダメだ! と言われたものを1つずつ、書き出していく。
私 「これで今の懸念は全部洗い出されていますかね?」
キーマン 「そうだね。だいたい出ているよ」
私 「多少重複もありそうですね」
キーマン 「いろいろ言ったけど、1番目と3番目は同じ内容だね。まとめていいよ。5番目は言ってみたものの大した問題じゃないから消してもらっていいや」
私 「分かりました。1番目と2番目、4番目がちゃんとクリアになればスッキリしますか?」
キーマン 「そうだと思うよ」
私 「では、1番からなのですが、……」
こんなふうに書き出してみると、実は同じことを違う言葉で話していたのだったり、批判ではなく、単に質問だったりしたものが整理される。特に、感情的になっていると、「話している本人も整理がついていない」ことが多い。
さらに、書き出すことで、批判を受け止めたことをアピールできるのもメリットだ。「あなたの意見、しっかり受け止めましたよ」と示さないと、ちゃんと対応してくれるのか不安になるものだ。だから、受け止めたことを示さないと、何度も何度も批判されることになる。
しっかり書き出しておけば、「あ、こないだのご指摘ですよね。ここに書きとめてありますよ」といえる。
これが、明らかにするということだ。ここまでやってるケースはほとんど見かけないが、ぜひやってほしい。
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