例えば広告バナー配信の仕組みを使ってマルウェアを配信する「マルバタイジング」は、その一例です。
バナー広告の中には、突然、「あなたのスマホはウイルスに感染しています!」と警告を出すものがあり、見た人をだますことが目的のものも見受けられます。そんな広告が存在していることを考えると、広告ブロッカーの利用もやむなしと考えざるを得ないのです……あまり大きな声では言えませんが。
もちろん、無料でコンテンツを提供することなどできないのだから、広告は受け入れるべきというのが「正論」といえるでしょう。しかし、その正論を覆すほどの「嫌悪感」がネットにまん延しているのも、また事実です。「広告ブロッカーを使ってはいけない」と、正論を振りかざすだけで納得されない状況があるのです。
「ネットコンテンツ」が先細らないためにできること
ネットの記事を書くことで生計を立てている身としては、「広告ブロッカーを使わないでね」といいたいところです。この点は、個人の視点で正しいと思うことをみんなが行うと、全体では取り返しの付かない間違った結果になる「合成の誤謬(ごびゅう)」が起きていると思っています。
こうした広告に関する問題は、業界側が本気で取り組むべき問題です。Googleが提供する「Chrome」でも、将来的に「劣悪な」広告をブロックする機能を追加するという発表をしており、それだけ、この問題は深刻なのかもしれません。
広告ブロッカーは「使うべき」とも「使うな」とも言いにくいと、個人的には思っています。ただ、これは現時点ではおおっぴらに使っていることをアピールすべきものではないとも思っています。使うなとは言えませんが、ばれないように使う程度におさえていただけると……。
ちなみにSafariでは、右上のリロードボタンを長押しすると、コンテンツブロッカーを外した状態で読み込むことが可能です。スクリーンショットを撮るときにはこれをぜひ。
著者紹介:宮田健(みやた・たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より:
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。皆さんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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