富士市、OpenStackを活用した統合型プライベートクラウド基盤でBCPを強化
静岡県富士市は、災害時の業務継続と効率的な行政運営体制を実現を目指し、オープンソースベースのレッドハット製品を搭載したNEC「Cloud Platform for IaaS」を導入した。
静岡県富士市は、NECの統合型プライベートクラウド基盤「Cloud Platform for IaaS」を導入し、IaaS基盤をオンプレミス環境に構築した。災害時の業務継続と効率的な行政運営体制の実現に向けた環境を整備するのが狙いという。
同市はこれまで、外部のデータセンターに基幹システムを置き、シンクライアント環境で業務を行ってきたが、災害発生時に回線の切断などが発生した場合に、住民情報にアクセスできなくなるリスクを抱えていた。東海地震や南海トラフ地震も想定したBCPの推進や、行政運用体制の強化が求められていることもあり、データや業務システムのバックアップ基盤の見直しが求められていた。
また、制度改正に合わせたシステム改変などでハードウェアリソースの追加や新たなシステムの構築が必要になった際、これまでは既存サーバの余剰リソースから仮想マシンを切り出して対応していたため、全体像の把握が困難で、効率的な業務推進の障害となりつつあった。
今回導入したCloud Platform for IaaSは、拡張性に優れたオープンソースのクラウド基盤ソフト「Red Hat OpenStack Platform」と、OpenStackと親和性が高いSDS「Red Hat Ceph Storage」を搭載することで、ネットワーク機器やサーバ、ストレージなどを統合したプライベートクラウド基盤を提供する。
増設や拡張が容易で、増強する際にも稼働中の仮想マシンを停止することなく、サーバ機器(ノード)を追加して仮想環境のスケールアウトが可能になる。
また、基盤上で複数稼働しているシステムやネットワークに対する端末からのアクセス可否状況などを、一覧表示できるダッシュボードを装備。柔軟なリソース再配分が可能で、災害発生時にも被災状況や負荷状況に合わせた業務継続を実現するという。あらかじめ必要な要件で設計、検証し、初期構築を行ったうえで提供されるレディーメイド型製品を導入したことで、機器の納入から初期セットアップまで約1週間で完了した。
IaaS基盤を市庁舎内のプライベートクラウド環境に構築したことで、災害発生時にも柔軟かつ迅速な対応がとれるバックアップ基盤を構築するとともに、リソースの一元管理や柔軟なIT運用が可能になり、効率的な行政運営や行政サービスの拡充に向けた体制を実現したとしている。
関連記事
- NECと日本マイクロソフト、Azure販売で協業体制を強化
NECと日本マイクロソフトがクラウド領域における戦略協業を強化。Microsoft Azureの販売体制を1500人規模、構築の技術体制を100人規模で新設し、サービス拡充を図る。 - 三井住友信託銀行、タブレット端末を活用した新外訪支援システムを導入
三井住友信託銀行は、取引の受け付けから社内システムと連動した承認・実行までをタブレット端末上で行える、外訪支援システムを新たに導入した。顧客の記入負担の軽減や事務効率化を実現し、営業力の強化を図る。 - NEC、スーパーマーケットでAIを活用するソリューションを発表
NECが、購買行動データや商品属性を活用したマーケティング、需要予測などにAIを活用するスーパーマーケット向けソリューションの提供を開始した。併せてIaaS対応の本部基幹業務ソフトとセミセルフPOS端末の新製品も発表。 - 東北大学とNECが産学連携、実データを活用しAIの社会実装を推進
東北大学とNECはAIの社会実装を目的にした産学連携を進める。プラント保全や不良品検知、産業用ロボット向け画像認識などの分野での実装を目指す。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.