3年目に入った「攻めのIT経営銘柄」、見えてきた成果と日本企業の課題:IoTやAI活用を重視(3/3 ページ)
経済産業省がIT投資に積極的に取り組む企業を選出する「攻めのIT経営銘柄」が3年目を迎えた。評価項目を変えるなど、試行錯誤を繰り返す中で見えてきた成果、そして日本企業の課題とは?
トップも現場も、部門を超えてITを活用していく文化を
滝澤氏と大田氏に、攻めのIT経営銘柄の今後について聞いたところ、「攻めのIT」への取り組みの裾野を拡大すべく、さらに注目度を高め、アンケートに回答する企業数を増やしていきたいとのことだった。
そのような意図で今回からは、銘柄には選定されなかったものの、全体の中で総合的評価が高かった企業、注目されるべき取り組みを実施している企業などを「IT経営注目企業」として発表している。
また、アンケートに回答した全社の企業名を原則公開することとし(希望があった場合のみ非公開)、回答した全ての企業に対して評価の結果をフィードバックするというインセンティブも付けることにした(前回までは、希望した企業のみにフィードバックしていた)。
アンケートやヒアリングを通じて、日本企業の現状について、「経営層にも現場にもITを分かる人材が足りていないこと」「中長期的なITを活用を実現するために、必要な部門横断型の体制が取れていないこと」を滝澤氏は課題に感じているという。どのように改善していけばよいのかについては、攻めのIT経営銘柄のアンケート項目が1つのガイドラインになりそうだ。
「われわれが考える『攻めのIT』を着実に進めていることがきちんと捉えられるようなアンケートを作っているので、その質問項目自体がメッセージになっているんです。こういうことが必要だと考えているという意図が、回を重ねるごとに伝わるようになっているという手応えがあります」(滝澤氏)
IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボット。これらの技術は、2017年5月に経済産業省が発表した「新産業構造ビジョン」でも、第4次産業革命をけん引する技術革新として取り上げられている。日本企業が勝ち残るために意識してほしいこと――攻めのIT経営銘柄は、国から各企業に課せられた“宿題”と見ることもできる。
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