ChatOpsでシステム運用を効率化する方法:仮想化&ストレージの基礎と最前線
チャットの仕組みを使ってシステム運用の作業を効率化する「ChatOps」の導入メリットとは?
この記事は羽鳥正明氏のブログ「仮想化&ストレージの基礎と最前線」より転載、編集しています。
最近のAI技術の急速な進化や、加速する実運用化への動きには驚くばかり。これまで不可能と思われていた近未来的なSFの世界がとうとうやってくると思うと、ワクワク感と不安感が同時に訪れます。
今回は、そんなAIとの連携も進みはじめたチャットを利用して、システム運用をしてしまおうという「ChatOps」について考察します。
チャットでシステム運用ができるChatOps
ChatOpsとは、「Chat」と「Ops」という2つのワードを掛け合わせて作られた造語で、チャット(Chat)をベースとして、システム運用(Ops)を行うという意味があります。
ChatOpsを利用する効果として、SaaS(Software as a Service)の連携が容易になり、新たな付加価値を得られることが挙げられます。
SaaSは、特定の機能に特化して提供されるソフトウェア(アプリケーション)のことを指し、一般的にはインターネット経由で必要な機能だけを利用できるサービスが多いです。
ChatOpsにより、SaaS同士の連携がスムーズになり、従来SaaS連携にかかっていた手間やコストを抑えることができます。そして、さまざまな業務の効率化(自動化)を容易に実現できるようになります。
また、チャットをインタフェースとして各種SaaSと連携することで、チャットに情報が集まります。そのため、集まった情報を総合的に見ながら担当メンバー同士がディスカッションするといった、新たなコミュニケーションの可能性も生まれます。
ChatOpsによるシステム運用のメリット
ChatOpsによるシステム運用には、さまざまな利点があります。
まず、共通インタフェースでシステムの運用ができる点が挙げられます。常に立ち上げているツールなどで、いろいろなことができます。これは、ひと昔のUNIXエンジニアにとってのTerminalと同様です。しかし、コマンドが増えた場合には、学習曲線の問題があるでしょうから、注意が必要なのも同様といえるかもしれません。
インタラクティブ性もChatOpsの特徴です。通知を受け取る側のインタフェースと、何かについての動作をするためのインタフェースを統一しやすくなっている上、応答性もよくなっています。常時利用する可能性が高いツールであるため、さまざまな通知を検知でき、その度に迅速な対応ができることはメリットとなります。通知されるメッセージなどの制御をすることで、素早い検知ができるのです。
また、共有がしやすく、記録に残しやすいというのもChatOpsの大きなメリットです。チームやプロジェクトなどで便利に活用でき、何をやったかを可視化することも可能です。情報共有ツールなどに書き込むことで、さらに具体的に可視化しやすくなります。
記録しやすいというメリットにより、明示的に記録の手続をしなくとも、作業の記録を残せるのも特徴です。あとでその情報を検索したり、記録を見たり、整理したりすることも容易です。また、必要な入出力パラメータが何かということがはっきりとするため、業務プロセスの再定義にも活用できるでしょう。
その他、業務改善などに直接作用しなくとも、雑談用の会話ができるなど、息抜きに利用することもできます。
ChatOpsの今後の可能性
これからの日本では、ChatOpsの導入が進み、チャットを利用したSaaS連携やシステム運用による業務効率化は加速していくでしょう。
特にChatbotの利用は、拡大されていくと予想されます。Chatbotは、人間の代わりにチャットを行うプログラムです。従来はChatbotの作成には労力とコスト、時間がかかりました。ChatOpsの導入が進むとともに、Chatbotを簡単に作成できるシステムも登場しています。今後は、Chatbotとの組み合わせでさらなる作業効率化を図る仕組みの登場が期待できそうです。
また、ChatOpsは、ユーザーと、ツールやプロセスなどを、ワークフローに統合できるコラボレーションモデルといえるでしょう。このフローには、ユーザー、Chatbot、その他関連するツールとのコラボレーションによって完了した仕事を永続的に記録しておけます。それも踏まえた情報共有が進むことで、チームのコラボレーションが進化し、さらなる効率化を目指すことができます。
また、チームの文化醸成や、クロストレーニングにも活用できます。ChatOpsは利便性が高く、一度これを使ったやり方で仕事してみると、元には戻れなくなるでしょう。
ChatOpsは、アイデアや使い方次第で、さまざまなワークフローを省略でき、全体的な業務効率の向上に活用できるでしょう。
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