Ciscoが提唱するAIを活用した「ネットワーク進化論」とは:Weekly Memo(2/2 ページ)
いよいよネットワークにもAIを活用する時代がやって来た。Ciscoがそんな新しいネットワークソリューションを発表した。そのコンセプトとは――。
AIを活用した“直感的なネットワーク”を提案
そのうえでCiscoが新たに発表したのが、冒頭で紹介した「The Network. Intuitive.」(直感的なネットワーク)というコンセプトである。米本社のチャック・ロビンス最高経営責任者(CEO)は、このコンセプトについて、「Ciscoはより直感的なネットワークを構築することでビジネスを進展させ、場所を問わずに人々と組織のために新しい機会を創造する、比類なきセキュリティを備えたインテリジェントプラットフォームを提供する」とのメッセージを発信している。
濱田氏は新コンセプトのキーワードとして、図3のように「コンテキスト」(文脈)、「インテント」(ビジネスの意図)、そして「インテュイティブ」(直感)の3つを挙げ、「直感的なネットワークとは、コンテキストを活用し、インテントが主導するインテリジェントかつ高度にセキュアなプラットフォームのこと」と説明した。
ちなみにその直感において機械学習を活用し、世界中のネットワークを流れるデータを基に「自律したネットワーク」を実現しようというのが、新コンセプトの重要なポイントとなっている。
同社では新コンセプトに基づく製品群として、シンプルな管理によって運用コストを削減する「DNA Center」、ネットワークの展開や変更を迅速に行う「SD-Access」、全ての脅威を監視して対処する「Encrypted Traffic Analysis」、問題が発生する前に予測する「Network Data Platform」、インフラとなるスイッチ「Catalyst 9000シリーズ」を整備(図4)。それぞれの詳しい内容については発表資料をご覧いただきたい。
今回の発表内容について、濱田氏はあらためて次のように語った。
「Ciscoは創業以来、ネットワークの専門家としてさまざまなソリューションを提供してきた。最近ではセキュリティについても世界トップクラスのベンダーとして製品群を拡充している。今回の直感的なネットワークは、そうしたこれまでの当社の活動における蓄積の上に成り立っている。まさにIoTをはじめとした今後のデジタル社会におけるネットワークの在り方を提案したものだ」
こうしたコンセプトの話は分かりづらいケースが多いので、今回は図も4つ掲載した。Ciscoを取り立ててPRをするつもりはないが、先にも述べたように、ネットワーク機器最大手の同社が打ち出した「新しいネットワークのコンセプト」は、今後のネットワークの在り方を捉えるうえで、エンジニアのみならず、企業のマネジメント層やビジネスパーソンもチェックしておくべきだと考える。
Ciscoには、新コンセプトに基づいたネットワークの進化ぶりが、マネジメント層やビジネスパーソンにも分かりやすい事例を、どんどん紹介していってもらいたい。それが最大手の務めだろう。大いに期待しておきたい。
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