コレ1枚で分かる「日米のビジネス文化の違いとクラウド」:即席!3分で分かるITトレンド(1/2 ページ)
企業のクラウド利用のし方に影響するビジネス文化について把握しつつ、これからの日本のクラウドビジネスの行方と成長のヒントを探ります。
この連載は
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! いまさら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
日本のクラウドが米国ほど普及しない理由とは
クラウドは、ITエンジニアの7割がユーザー企業に所属する米国で生まれた、情報システム資産を調達する仕組みです。リソースの調達や構成の変更などを容易にし、ITエンジニアの生産性を高め、コスト削減に寄与します。
つまり、ITエンジニアを社内に多く抱える米国では、クラウドは、ユーザー企業の生産性を高めることに直結しています。
一方、わが国のITエンジニアは、7割がSI事業者(SIer)やITベンダー側に所属しています。従って、米国におけるITエンジニアの仕事は、システムの構築や運用を受託しているSIer側に任されています。そのため、クラウドは、SIerの生産性を向上させます。
しかしこれは、SIerにとって、案件単価の減少を意味し、メリットはありません。また、調達や構成の変更はリスクを伴う仕事です。米国ではそのリスクをユーザー企業が引き受けていますが、わが国ではSIerが背負わされています。
このことから見えてくるのは、SIerと、案件単価の減少とリスクの増大をもたらすクラウドは、利益相反の関係にあるという事実です。わが国のクラウドサービスの普及が、米国ほどではないといわれる背景には、このような事情があるのかもしれません。
また、エンジニア構成の配分が、このように日米で逆転してしまっているのは、人材の流動性に違いがあるからです。米国では、大きなプロジェクトがあるときには人を雇い、終了すれば解雇することもさほど難しくありません。必要とあれば、また雇い入れればいいわけです。
一方、わが国では、そのような流動性はありません。そこで、この人材需要の変動を担保するために、SIerへのアウトソーシングを行い、需要変動の振れを吸収しているのです。
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