弘法大師の貴重な文化財をデジタルデータで 「高野山アーカイブ」がスタート
高野山大学は、NTTデータグループと共同で、仏教や密教に関する歴史的貴重資料を一般公開するデジタルアーカイブシステムを構築した。
高野山大学、NTTデータ関西、NTTデータは、創立130年の伝統を有する密教の最高学府である高野山大学が保管する、仏教や密教に関する歴史的に貴重な資料をデジタル化し、広く公開する「高野山アーカイブ」を構築した。2017年7月31日に、一般公開を開始した。
NTTデータ関西とNTTデータは、高野山大学に保管されている、仏教や密教に関する歴史的資料をデジタル化して広く一般に公開することを目的としたデジタルアーカイブ事業に共同で取り組んでいる。
1886年に真言密教の宗門大学として創設された高野山大学は、弘法大師空海が開いた真言密教の根本道場としての役割に加え、教育機関としても1200年の伝統を有しており、同大学の図書館に蓄積されている仏教や密教に関する資料は、国内有数の蔵書数を誇る30万冊にも及ぶ。
蔵書には、国指定重要文化財をはじめとした多くの古写本や版本を含み、仏教や密教の研究者だけでなく、国文学、国語学、歴史学など、国内外の研究者から注目されており、貴重な文化財として価値がある。
しかし、これらの歴史的資料は十分なデジタル化が行われておらず、誰もが自由に活用できないことが課題となっていた。そのため、バチカン教皇庁図書館をはじめとして、多数のデジタルアーカイブシステムの構築実績を持つNTTデータグループと連携し、今回のデジタルアーカイブシステムを構築するに至ったという。
新システムは、Amazon Web Services(AWS)を活用して、NTTデータのデジタルアーカイブソリューション「AMLAD(Advanced Museum Library Archives Deposit)」 で構築。AMLADは、画像、動画、音声などを含むあらゆる資料をデジタルデータとして長期保存でき、PC、スマートフォン、タブレットといったマルチデバイスによる検索や閲覧が可能なシステムを構築できる。デジタル化した資料は、AMLADのビュワー機能により、Webブラウザ上で閲覧可能だ。
高野山アーカイブでは、一般的に判読が難しい写本などの旧漢字(訓点、装飾文字)やくずし字に対して活字を表示させる機能(翻刻機能)を備え、歴史的資料の利用価値を高める取り組みも行うという。
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