Excel業務から解放、人事もデータ駆動型に
クラウドHCMベンダーのWorkdayが、ユーザーカンファレンス「Workday Elevate Tokyo 2017」を開催し、日本企業の人事もデータ駆動型へと変革すべきとした。
「一番できる人に一番難しい仕事を任せる。それが戦略人事の基本」── 。先日都内で行われたワークデイのユーザーカンファレンス、「Workday Elevate Tokyo 2017」でそう話したのは、people firstの八木洋介氏。旧日本鋼管やゼネラルエレクトリック、LIXILグループなどで長年、人事畑を歩んできた人事のプロだ。
人事は本来、経営戦略を理解し、経営者や事業責任者のパートナーとして人と組織の打ち手を立案し、実行する立場にあるはずだが、終身雇用や年功序列のせいだろうか、そんな当たり前のことを行うのが難しい伝統的な日本企業は多い。
「伝統的な日本企業では、人事アプリケーションといっても給与計算システムが中心。30年も40年も前の古いシステムを使い続けているところさえある」と話すのは、クラウド人事管理(HCM)ベンダーのWorkdayで、アジア太平洋地区と日本を担当するプレジデント、デビッド・ホープ氏。日本企業の人事部門でも、人を必要としている部門に社内外から候補者を見つけて組織全体の最適配置を図ったり、重要なポジションの後任を育成したりといった業務に今後は注力すべきと考えられているが、それを支える情報システムは導入されていない。実際のところ、Excelでやり繰りしている企業が多いという。
「ビジネスを取り巻く環境が絶えず変化をする時代にあっては、優れた人と企業文化が変革をけん引し、競争優位を築いていく。だれでもどのデバイスからでもデータやインサイトにアクセスでき、自ら学び、企業の成長に貢献したいというエンゲージメントを高めることができる新しい世代の人事アプリケーションが求められているはずだ」とホープ氏。
Workdayは新興のSaaSベンダーだが、かつて人事アプリケーションの大手ベンダーとして知られたPeopleSoftの流れをくむ企業だ。PeopleSoftはOracleによる敵対的な買収の標的となり、やむなく創業者だったデビッド・ダフィールド氏はCEOを退いたが、一念発起、クラウドでHCMを中心としたERPアプリケーションを提供するWorkdayを新たに設立し、リベンジを誓ったのだ。ユーザーの声に耳を傾け、製品に反映、優れたカスタマーサービスを提供してきたのは、PeopleSoft譲りと言っていいだろう。
「Workdayの強みは、Power of 1、すなわち1つのプラットフォームで人事だけでなく、財務のアプリケーションも稼働していること。カスタマー主導のイノベーションを継続してこれた原動力となっている」とホープ氏。おおよそ10年前にHCMのSaaSを提供したのを皮切りにファイナンスやプランニング、さらにはアナリティクスへと機能を拡充、顧客企業グループは1500を超えている。日産自動車や日立製作所、ソニーといった日本を代表するグローバル企業も海外でWorkdayを採用、国内への展開も検討しているという。
「WorkdayのプラットフォームをPaaSとして提供していく計画も明らかにしている。企業ごとに細かなニーズがある日本企業にとっても検討しやすくなるだろう」(ホープ氏)
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