「スマホシフト」に挑むケンタッキー、膨大な顧客データをどう統合するのか?:購買履歴から行動履歴へ(1/3 ページ)
日本でも有数のファストフードチェーン「ケンタッキーフライドチキン」。同社はこれまで、店頭での購買履歴を中心に顧客管理を行ってきたが、デジタルでの行動履歴を含めた顧客管理にシフトしようと、大規模なデータ統合を行っている。
ケンタッキーフライドチキン。1970年11月に日本で1号店を出してから47年、今では1149店(2017年3月31日現在)を展開している、日本でも有数のファストフードチェーンだ。毎年クリスマスの時期になると放映されるCMを見たことがある人は多いだろう。売り上げも約880億円(2017年3月期)と好調を維持している。
とはいえ、高い売り上げを維持し続ける裏にはさまざまな努力がある。その1つがデジタル施策への注力だ。Webページや各種SNS、スマートフォンアプリといったデジタルデバイスから得られたデータを使い、新たなプロモーションを行おうとしているのだ。
これまでマス広告やリアル店舗での施策が中心だった日本ケンタッキー・フライド・チキン(以下、KFC)が、どのようにデジタルにシフトしようとしているのか。KFCでデジタルマーケティングとCRMに取り組む塩谷旬氏に聞いた。
リアル店舗が中心のKFCが、デジタルCRMに取り組む「3つの理由」
塩谷氏によると、KFCがデジタルに取り組む理由は3つある。「少子高齢化」「情報流通量の増加」、そして「デジタル依存の高まり」だ。
「少子高齢化と人口減少が進む日本で戦うには、まずは既存顧客の維持や育成を考える必要があります。しかし、スマートフォンが登場したことで、人々が情報に触れるルートやその量が、これまでとは大きく変わりました。情報過多のこの時代、伝えたい情報がお客さまに届きにくくなっているのが事実です」(塩谷氏)
マスに向けて情報を流すとともに、1人1人のユーザーとコミュニケーションをするにはどうすればいいか、そこでKFCがたどり着いたのが、「スマートフォンの公式アプリを中心としたCRM基盤を構築する」という結論だった。
現在、KFCの公式アプリは約746万回ダウンロードされており(2017年7月末)、同社のメールマガジン会員は約276万人いる。この両者を同社では「自社会員」と考えているという。それらに加え、FacebookやTwitter、InstagramやLINEといったSNS上のフォロワーは合計で1764万人。これらデジタル上のコミュニケーション基盤における顧客のロイヤルティーを高めるのも塩谷氏のミッションだ。しかし、そのデータは当初バラバラで管理されていた。
関連記事
- ケンタッキーFCが“ネット注文システム”を導入した理由
外食大手のケンタッキーがネットオーダーシステムを導入した。「え、今までなかったの?」と思われる方もいるかもしれないが、外食産業でネット予約注文に対応している企業は意外と少ない。このシステムが同社の“クリスマス商戦”を支えるのだという。 - 企業を超えたデータ連携、どう進めればいい? SBIホールディングスに学ぶ
Webサイトにおける行動分析……というと多くの事例が出ているが、30以上の会社が相互に連携していたとしたらどうだろう。金融サービス大手の「SBIホールディングス」では、グループ各社の連携と全体最適を一手に担う部署がある。 - AI活用に挑むIDOM、データドリブンな組織をどう作ったか
中古車買い取り大手のガリバーを運営する「IDOM(イドム)」は、人工知能をはじめとした、先端テクノロジーに果敢にチャレンジし続けている。その背景には、経験や勘がほとんど入らないデータドリブン経営、そしてそれを支える「企業文化」があった。 - 「Tableau」と「Redshift」を導入、ココカラファインの狙いとは?
「ドラッグストアなんて、どこも似たようなものじゃないの?」 差別化が難しい業界において、データ活用で活路を探るココカラファイン。プライベートDMPやセルフサービスBI導入の目的は個客単位でのおもてなしにあるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.