「スマホシフト」に挑むケンタッキー、膨大な顧客データをどう統合するのか?:購買履歴から行動履歴へ(3/3 ページ)
日本でも有数のファストフードチェーン「ケンタッキーフライドチキン」。同社はこれまで、店頭での購買履歴を中心に顧客管理を行ってきたが、デジタルでの行動履歴を含めた顧客管理にシフトしようと、大規模なデータ統合を行っている。
KFCが目指す「オムニチャネルCRM」とは?
今後は新たなCRMの形に挑戦していくと塩谷氏。複数の販売経路や顧客接点を連携させる「オムニチャネルCRM」を目指すという。
「デジタルCRMで、顧客接点を連携させることが可能になりましたが、次は複数の販売経路を連携させることが必要だと思いました。デジタルCRMでは“補完”として捉えていた購買履歴を、“取得し、活用する”ものとして位置付け、さらに購買はもちろん、商品を検討し、消費するタイミングまでを踏まえた、お客さまの時間(顧客時間)を意識して、ニーズに合った顧客体験を提供することが重要だと考えています」(塩谷氏)
そこで塩谷氏が展開しようとしているのが「ロイヤルティプログラム」だ。自社会員で行うプログラムを今後検討していくという。
「これまでは一般顧客を“個客”として捉え、優良顧客にしていく手法をとってきましたが、次は優良顧客の維持や育成活動がより重要になります。『I like KFC』から『I love KFC』にどう変えていくか。そのための“特別な対応”は、やはり自社会員でなくては行えません」(塩谷氏)
オムニチャネルCRMを実現する基盤は、既存のシステムとのデータ連携をベースに、新たなシステムを追加する形で構築する。このようにデータの統合を進めているKFCだが、「データ活用という面ではまだまだこれからの部分が多い」と塩谷氏は話す。
しかし、この地道な統合を行わなければ、ビジネスへの効果が出ないのもまた事実だ。自社のビジネスが目指すべきところはどこなのか。そしてそのためにはどのようなデータが必要なのか。ターゲットを冷静に見極め、着々と成果を上げていくKFCの手法に学ぶところは多いはずだ。
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