AIで融資業務の社内問い合わせ対応を効率化 農林中金が実証実験
農林中央金庫(農林中金)が、人工知能(AI)による質問応答システム「QA Engine」を社内の問い合わせ対応に利用する実証実験を開始する。
農林中央金庫(農林中金)は電通国際情報サービス(ISID)、Studio Ousiaと共同で、AIを使った社内問い合わせ対応の効率化に向けた実証実験を開始する。
実証実験では、農林中金の支店から本部への融資業務に関する問い合わせ履歴データを対象に、QA Engineによる自動応答の有効性を検証するとともに、実業務への適用に向けた運用面の評価を行う。
QA Engineは、ディープラーニングを用いて自然文による質問を解析し、自動応答するシステム。人によって異なる多様な質問の表現にも最適な回答を瞬時に返すという。例えば、「稟議書を別の部署へ回覧できますか」と「他部へ回付を行いたいがどうすれば良いか」は同じ趣旨の質問であることを理解し、どちらにも「回付可能範囲と手続き」についての回答を返す。今回の実証実験の結果を踏まえ、解析結果の精度向上やQA Engineの適用業務領域の拡大などを進めていく考え。
農林中金は、FinTechへの対応などを視野に、デジタルイノベーションに向けた取り組みを強化しており、2017年7月にはデジタル技術の活用による経営と業務の変革を目的に、デジタルイノベーション推進部を設置。国内外のFinTechスタートアップ企業などと連携し、外部のアイデアや技術を活用するオープンイノベーションに取り組んでいる。
今回の実証実験は、その一貫として行われるもの。農林中金では、このほか、財務書類の手書き文字の読み取りに関するAL insideとの共同実証実験や、リテール業務の事務にかかわるグループ内部の照会応対についてのグルーヴノーツとの共同実証実験も予定している。
関連記事
- ブロックチェーンネットワークの高速構築を支援する「IBM Blockchain Platform」、10月に提供開始
日本IBMは、「IBM Cloud」のフルマネージドサービスとして、ブロックチェーンネットワークの迅速な構築を支援する「IBM Blockchain Platform」を10月に開始する。 - 人工知能が不正を検知 証券取引審査をAIで強化する実証実験、SBI証券などが開始
SBI証券と楽天証券が、NECのディーブラーニング技術を活用して、不正取引の疑いのある取引を検知する実証実験を開始した。 - 国内金融分野のFinTech拡大を予測、エコシステム構築が成長の要――IDC予測
IDC Japanが、金融分野における第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ・アナリティクス、ソーシャル技術)市場の成長予測を発表した。 - 実用化へ踏み出したブロックチェーン
実用化に向けた取り組みが進み、導入分野に広がりが見えてきたブロックチェーン技術。従来の価値取引における“仲介役”が不要になるというその仕組みは、何をもたらすのか? 気になる動向を探ります。 - 「フリック操作で認証」のバンキングサービス、三井住友銀行が邦銀で初導入へ
スマホ画面のフリック操作でインターネットバンキング利用時の認証ができる仕組みを法人向けに提供する。 - IBM支援の地銀共同システム、第四銀行で稼働開始
第四銀行は、千葉銀行、中国銀行の3行で共同利用する新たな基幹系システムを稼働開始した。地銀7行と日本IBMで進めている「TSUBASA(翼)プロジェクト」の一環として開発されたシステムで、顧客サービス・商品の充実などを目指す。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.