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Microsoft、量子コンピュータ向けプログラミング言語を年内プレビュー公開へ
70年代から量子コンピュータの研究に取り組んできたMicrosoftが、「Visual Studio」と統合した量子コンピュータ向けプログラミング言語のプレビュー版を年内に無料で公開する。
米Microsoftは9月25日(現地時間)、フロリダ州オーランドで開催の企業向けイベント「Microsoft Ignite」の基調講演で、量子コンピュータ向けのプログラミング言語のプレビュー版を年末までに無料で公開すると発表した。
この言語は「Visual Studio」と深く統合されているので、量子コンピューティングについての深い知識がなくても量子コンピュータで稼働するソフトウェアを開発できるという。また、量子シミュレータでテストできるので量子コンピュータを持っていなくても(量子コンピュータはまだ販売されていない)開発できる。
量子コンピュータは、情報単位として「0と1の重ね合わせ」で表される量子ビットを用いることで、従来のコンピュータより大幅に高い処理能力を実現するコンピュータ。Microsoftは70年代から関連するハードウェアとソフトウェアの開発に取り組んでいるという。Microsoftの他、GoogleやIBMとMITなども研究している。
量子コンピュータはその高い処理能力により、これまで数年かかっていたような例えばゲノム解析などが短時間で可能になるという。Microsoftは、特にAI(人工知能)分野で、機械学習を使ったトレーニングアルゴリズムの行程の時間短縮に役立つとしている。
プレビューに参加したい開発者は特設ページから申し込める。
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