国内企業のRPA導入状況、「導入済み」は14%にとどまる――ガートナー調査
導入済みの企業は全体の14.1%にとどまり、普及はそれほど進んでいないことが明らかになった。過度な期待と過剰なマーケティングメッセージなどによる市場の混乱もみられるという。
ガートナー ジャパンは10月12日、国内のRPA(ロボティックプロセスオートメーション)に関する市場動向と調査結果を発表した。
2017年5月に実施したWeb調査の結果、先行する国内企業の導入事例が増えているものの、RPAを「既に導入済み」と回答した企業の割合は全体の14.1%で、まだ普及はそれほど進んでいないことが明らかになった。
一方、「導入予定/検討なし」と「分からない」を合わせると、全体の60.4%となり、明確な導入の意思を持ち合わせていない企業が6割に達する結果となった。
なお、同調査は、国内のITユーザー企業を、業種や企業規模に大きなばらつきが出ないように抽出し、ITリーダー(ITシステムの構築/導入/保守/運用およびサービス委託先の選定に関与している担当者)396人を対象に実施した。
ガートナーによると、現在市場で採用されているRPAの大半は、基本的に成熟したテクノロジーの組み合わせで構成されており、AIや機械学習のテクノロジーを実装している製品はまだ少ないことを指摘。これらの本格的な実装と利用は、今後になると見ている。
RPAは、導入によって一定以上の効果が期待できるものの、現状では、実態を上回る過度な期待と過剰なマーケティングメッセージなどにより、テクノロジーや導入効果、課題、現状と将来などのRPAに関する理解がまちまちで、市場に混乱が見られると分析する。
RPAの導入に際しては、「現在利用可能な製品の機能や今後のロードマップ、実装目的、RPAに適した用途について、テクノロジの観点から定期的に情報収集と評価を行うべき」とし、導入は、「適用可能な業務領域に全体への拡大をロードマップとして描きつつ、小さなプロジェクトから始める」ことを推奨。これによって、RPAの適用効果を一層高めることができるという。
また、既にRPA製品を導入済みの企業においては、「他ベンダーの製品の併用や、将来的な移行なども状況に応じて検討し、今後RPAを最大限活用するための知識や経験を積み、実運用から見えてくる課題を整理する」ことが望まれるとしている。
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