銀行情報を狙うマルウェア「Ursnif」、日本での活動が再び活発に
Ursnifが仕掛けられたメールは「公共料金請求書データ送付の件」「商品発送のお知らせ」といった内容でユーザーをだまし、添付ファイルやリンクをクリックさせようとする。
米IBM傘下のX-Forceは10月26日、銀行やクレジットカードの情報を盗むマルウェア「Ursnif」(別名Gozi)が、2017年9月から10月にかけ、日本での活動が再び活発化していると伝えた。
X-Forceによると、Ursnifは2007年に発見されたマルウェアで、当初は主に英語圏で出回っていたが、2016年ごろから日本でも横行するようになった。
日本では主に銀行やクレジットカードの情報が狙われているほか、Webメールやクラウドストレージ、仮想通貨プラットフォーム、電子商取引サイトのユーザー認証情報を盗もうとする亜種も出回っている。手口から判断すると、犯人は日本の銀行の仕組みにかなり精通している様子だという。
攻撃には、電子メールに悪質なファイルを添付したり、リンクをクリックするよう仕向けて悪質なコードを仕込んだページに誘導する手口を利用。「公共料金請求書データ送付の件」「商品発送のお知らせ」といった件名のメールでユーザーをだまし、添付ファイルやリンクをクリックさせようとする。
不正なメールは火曜夜に届くことが多く、感染は木曜から金曜にかけてピークに達する傾向が指摘されている。
日本で攻撃が活発化している理由について、X-Forceでは、2015年夏に浮上して日本で猛威を振るったトロイの木馬型マルウェア「Shifu」が感染拡大の土台を作ったと指摘。他のマルウェアがShifuのツールをコピーし、現地の同じ集団と手を組んでいるのではないかと分析する。
2017年に世界で出回ったマルウェアの中では、Ursnifは「Zeus」に次いで2番目に多い21%を占めているという。
関連記事
- ネット銀行狙うマルウェア「Ursnif」が流行、銀行など40社の情報を搾取
ネットバンキングの不正送金を狙う「Ursnif」(別名Goziなど)が国内で流行し始め、セキュリティ機関などが一斉に注意を呼び掛けた。 - 国際サイバー犯罪集団が相次ぎ日本進出、その理由は
欧米を主な標的としていた大手サイバー犯罪集団が相次ぎ日本に上陸している。「日本にとっての猶予期間は終わった」とIBMは断言する。 - 銀行情報を狙う新手のマルウェア出現、日本の14行が標的
極めて高度な機能を持つ「Shifu」は2015年4月頃から活発な動きをみせ、現時点では日本の銀行14行が標的になっているという。 - 日本人が標的のマルウェア出現、工業大学の研究室を名乗るファイルで遠隔操作
感染のきっかけとなるファイルには、関東の工業大学の研究室に関連するおとり文書が使われているという。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.