城南信用金庫、富士通の勘定系システム向けクラウド基盤「FSPS」で運用コストを削減
地域金融機関の勘定系システムの運用コスト削減と、事業環境の変化に迅速かつ柔軟に対応する体制づくりを目指し、富士通の勘定系システム向けクラウドサービス「FSPS」を導入する。
東京都と神奈川県で85店舗を展開する城南信用金庫は、次期勘定系システムの基盤として、富士通の勘定系システム向けメインフレームクラウドサービス「FUJITSU Financial Services Solution FSPS(FSPS)」を導入する。
FSPSは、富士通のデータセンター内のFSPS基盤に、地域金融機関が従来利用するアプリケーションを利用して勘定系システムを構築し、富士通の運用管理サービスなどとあわせて利用できる地域金融機関向けのサービス。
富士通によると、マイナス金利による経営環境の悪化や、ブロックチェーンやオープンAPIなどの最新技術への投資を背景に、勘定系システム領域への投資は抑制傾向にあるという。FSPSでは、仮想化技術によって分割した基盤上で複数の地域金融機関の勘定系システムを富士通が一括で運用管理を行うことで、地域金融機関はTCOの削減などを図れるとしている。
城南信用金庫は、従来、勘定系システム基盤を自金庫で開発、運用してきたが、今回、新たな運用基盤としてFSPSを採用し、システム運用コストの削減を図るとともに、事業環境の変化に迅速かつ柔軟に対応する体制の構築を目指す考えだ。
FSPSには、従来の勘定系業務アプリケーションをそのまま移行できるため、これまで培ってきた独自の顧客向けサービスは継続して提供できる。また、FSPSにあらかじめ用意されたスマートデバイス連携などのシステム連携機能を利用することで、スマートフォンやタブレットなどに対応した新サービスの構築が容易になり、顧客接点や取引の拡大につなげられるという。
FSPSは、東日本と西日本のデータセンターの2カ所で運用し、双方をリアルタイムに同期させているため、有事の際に片方の勘定系システムが停止した場合でも、もう一方のデータセンターから金融サービスを継続提供でき、事業継続性の高度化も図れる。
城南信用金庫では、FSPSによる次期勘定系システム構築に際し、業務アプリケーションの開発を自金庫で行うとともに、富士通のアプリケーション開発サポートも活用することで、作業負担の軽減とサービスの早期開発を目指す。次期システムは、2020年に本格運用開始を予定している。
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